4 / 36
1-4
「すごい、いい体してますね」
「そ、んな……っあ、誓くんだって、やっ」
「それに、経験ないって聞いてましたけど、随分反応がいいような……」
複数人で使用しても持て余すくらいの広いシャワールーム。縦長の鏡と向き合うように立たされた聖は、背後に立ってぴったりくっついている誓の手によって、全身を優しく撫で回されていた。
「ほら、ちゃんと立って、前見て」
「あ……んッ」
後ろから優しく抱きしめられてから、左右の乳首をぎゅうっと引っ張られる。聖はくぐもった声を上げてから、言われた通りに体勢を整え直した。
両手は頭の後ろで組んで下半身ではガニ股を作って、シャワールームなので当然全裸のため、どんなに恥ずかしくても陰部は隠せないような格好にされている。
体中に触れられるたびに、びくびくと震えて姿勢を崩しかける。そんな聖を叱るように乳首に負荷をかけ、ちゃんとした服従のポーズを取り直させられている状態が続いていた。
「ふふ、それにしても本当にエッチな体ですね……こんなに立派な筋肉ついてて綺麗な体で、上から下まで毛がないんですもんね、エロいなあ」
誓の言う通り、腋も下生えも、どこもかしこも処理をしている。学生時代からの習慣なのだが、毛のない状態が常になっていて、聖からしてみたらなにもおかしいことではないのだが、こうやって口に出されると羞恥心でいたたまれない。
「……っひ、ぃ……や、そんなとこ、舐めないで」
「本当に嫌だったら、事前に決めてたNGワード言ってくださいね」
聖の嫌という言葉はあっさり聞き流され、誓の腋舐めがひたすら続けられる。
先程からずっと勃起状態が続いているのも辛い。背面に立っている誓にも、きっと鏡越しに見えているはずだった。
「まあ、嫌そうには見えないですけどね」
聖は顔を赤らめて俯く。すると、鏡に映る誓の指先が、胸元から陰部へ向けてするすると下降していく様子を、視界の端で捉えた。下腹部を摩られてから、完全に反応してしまっているものをそっと握りこまれる。
「……完勃ち、してる」
――やっぱり、気付かれていた。
唇をきゅっと噛み、さまざまな感情を消し去ろうとするも、すぐに追い打ちをかけられる。
「こんなに立派なの持ってるのに、こうやって掘られにきたわけですもんね……しかも特殊性癖持ち」
「や、あ……っ」
「先っぽぐりってしただけなのに、ガマン汁だらだら。あ、違うかな、腋舐められて勃っちゃった?」
「……んっ」
「書いてくれてた希望のプレイは、あとでいっぱいしてあげますからね。これはとりあえずのウォーミングアップということで」
わざわざ二人きりでシャワールームにこもっている当初の理由を思い出すと、聖の顔色がわずかに曇った。
「聖さんのアナル、きれいにしていきましょうね」
「……本当に、する?」
「うん、だって未経験って書いてたんで」
「セックスの経験がないだけで、その……後ろは、ふつうに使ったことが……」
「自分で準備出来るよ、って?」
訝しむ眼差しの誓に対して、聖はこくりと頷き返す。
洗浄に関しては、もともと聖ひとりで行うつもりだったのだ。そもそも自慰をするときに使っているから、そういった処理を全く理解していないわけでもないし、そこに関しては全くの初心者ではない。だからこそ、シャワーを浴びるタイミングで済ませようとしていたのに、なぜか誓が一緒にシャワールームに入ってきた。
入ってすぐにどうして、と聞いたときに、洗浄の手伝いをすると返され、そこから若干の憂鬱さがあったのだ。
「……ダメですよ、こんな格好で人に洗浄される恥ずかしい所を、ちゃんと自分で見届けないと」
「ンっ……」
「考えただけで興奮しちゃった?」
「ち、がっ、あ」
「体は正直ですよね、聖さんのここはこんなに素直なのに」
「あ、アっ……!」
「じゃあ始めていきますね、リラックスしてくださいね」
「やだ、や、ぁ、あ~~~ッ!」
ともだちにシェアしよう!