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尻たぶと陰嚢への刺激が終わると、陰茎の根元を縛られていた紐も解かれ、誓の手がいよいよ後孔に伸びてきた。
聖が事前に準備していた以上にどろどろになるまでたっぷり解され、そのあとは性急に進んでいった。指を一本、二本、三本と次々差し込まれていく。あまりにも早い流れに戸惑いつつも、聖の体はあっという間に順応していってしまう。
あらかじめ済ませていたとはいえ、短時間で慣らしを終えてしまうと、誓は聖の手首を掴んでベッドまで引っ張っていく。足をもつれさせながらも、ソファからベッドへ連れていかれると、そのままの勢いで押し倒された。
「体、大丈夫ですか?」
「……うん、その、ちゃんと準備してきてた、し」
「それもですけど、ずっと立たせてたし、さっきまでのプレイは体に負担じゃなかったかなって」
先程までのプレイ用の顔とは違って、前回のときのような、意地悪さもありつつも優しく甘い一面を覗かせる。
事前に記入したカウンセリングシートには、完全NG項目というものがあって、聖も本気で避けたいものはしっかり記載していた。誓から与えられる刺激で、完全NGに該当するものはひとつもなかった。要するに、スパンキングも陰嚢への負荷も、聖が事前に許可を出していたようなものである。それをわかっているはずなのに、誓は聖を気遣う言葉をかけてくれていた。
――自分の職業的に心配してくれているのだろうか、テレビに出る仕事だから?
誓の優しさにどこかむず痒さを感じつつも、聖は微かに笑って返した。
「大丈夫だよ……その、いろんな意味で、ドキドキしたけど」
「ふふ、気持ちよさそうでしたもんね」
「…………っ」
「こっちにも、挿れていいですよね?」
誓のそれは、質問のようでそうではなかった。
ベッドで仰向けになった聖の両膝裏を抱え上げて、いまかいまかと挿入を待ち望んでいる後孔に向かって、陰茎の先端だけをつぷりと差し込む。
「アナルも早く早くって言ってくれてますし」
「ぁあ゙……ッ♡や、ん゙っ♡」
「ね、聖さんはどうですか?」
「あ゙、ゃぁ゙……誓くんの、ほし、い゙ッ♡♡♡」
前回同様におねだりの言葉を口にした瞬間、誓の陰茎が根元までずぶずぶと突き刺される。指とは比べものにならない質量の苦しさと気持ちよさに、聖の全身がびくんびくんと跳ね上がった。
手足の指先がぴんと伸びる聖の姿を、誓はじとりと見下ろす。あたたかい粘液に包まれた陰茎を少しも動かすことなく、じいっと静かに待ち続ける。
しばらくすると、後孔が陰茎に馴染んできたのか、聖の呼吸が整い始める。そして、動いても大丈夫だと言わんばかりに誓をちらりと見上げた。
「聖さん、手貸して」
頭上に疑問符を浮かべながらも、片手を誓に向かって差し出す。手のひらを優しく握られると、それをそのまま、結合部まで運ばれた。後孔と陰茎の境目をなぞらされると、聖は羞恥心で顔を横に向けた。
下生えとゴムと、さまざまな手触りを感じつつ、今度は聖の下腹部に移動する。長さ的にはこの辺かな、と楽しげに語っている誓の顔をちらりと見て、聖はぼそりと呟いた。
「……動いて、くれないの?」
この時間も、誓なりの配慮だと考えたのだ。後孔は既に馴染んでいて、激しい抽挿を期待している。しかし、誓の返答は予想外のものだった。
「うん、焦らしてるんです」
「え?」
「動いてほしいですか?」
「……う、ん」
片手だけでなく、今度は両手に触れられる。恋人同士のように、左右の指と指を絡めあわせられると、聖は驚きつつも赤面した。
正常位の体勢のまま、よけられないほど顔をぐっと近付け、距離を縮められる。
「俺ね、実は少し怒ってます」
「おこ……えっ?」
「指名外されたからって、いつもはこんなことしませんよ。自分でもわかりますもん。ああ、この人にはあまりハマってないかもな、次は指名外されるだろうなって。でも、聖さんはぜんぜんそんなことなかった。自意識過剰とかじゃなく、相性は良かったはずですし、聖さんが喜んでくれているのもわかりましたよ。でも指名を外された。職業バレが気になる、過激なことをされたい……本当にそれだけ?」
じいっと見つめて詰められると、頭の中まで覗き込まれるような感覚に陥る。しかし、本心を口にすることは出来ずに黙り込んでいると、誓が小さくため息をついたのがわかった。
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