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「一応社会人だし、チケット代払うよ」 「いや、俺が誘ったんで気にしないでください」 「じゃあなんか食べ物でも買うか……いや、このあと食事だっけ。なんか、軽く食べれるものとかどう?」 「あ、えっとですね、先にトイレ行きません?」 「別にいいけど」  買うだけ買って中で行けばいいのに、と思いつつも、聖は誓の後をついていく。売店や受付とは反対側の、あまり人気のないトイレの方へ向かう。  トイレの入口近くには誰も座っていないベンチがあり、そこで待っていようかとも思ったが、これから二時間長いと考えて、聖もトイレに行くことにした。  廊下の奥、男性用トイレの扉を開ける。こちらにもあまり人はおらず、小便器の並びには誰も立っていない。奥に並んだ個室の扉はいくつかしまっているが、やはりほとんどが開いている。 「……聖さん、ちょっと」  奥の個室の方に進んでいた誓が、手前で立ち止まっていた聖に向かって手招きする。素直に従い、そちらに近付いていくと、誓が立っている個室の前で思い切り腕を引っ張られ、されるがままになる。  わっ、と声を出してしまいそうになったところを、瞬時に誓が大きな手のひらで聖の口を覆って、強引に黙らせる。  広くはない個室に引きずりこむと、いきなり口を塞がれ困惑している聖を、自身の体と扉で挟んで逃げ場をなくした。 「他にも人いるみたいなんで静かに、いいですか?」  聖だけに届くような小さな声で、優しく囁きかける。それに対してこくこくと繰り返し頷くと、口を塞いでいた手のひらがすっと離れていく。  それなりに体格のいい男ふたりで入るにはなかなか窮屈な空間で、すぐ目の前に立っている誓を咎めるように見上げる。いきなりなにするんだ――口には出さないが、反抗のつもりだった。 「聖さん、露出とか羞恥プレイに興味あるって、カウンセリングシートに書いてたじゃないですか」 「……?」 「ということで、せっかくなので今日はそういう楽しみ方をしましょう」

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