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「聖さん、大丈夫ですか?」 「あっ、うん……」 「俺の好みで選んじゃいましたけど、お口に合いました? ここ、デザートも美味しいんですよ、頼みます?」 「や、その、誓くんっ」 「――ああ、それどころじゃないか」  映画館での羞恥プレイをたっぷり味わったあとは、誓が予約しているという個室居酒屋に連れていかれた。映画館からの距離はそこまでなかったが、その間も、性感帯に施された装飾を外されることはなく、全てを仕込んだままでの移動となった。  クリップで長時間挟まれた乳首はひりひりとしているし、ローターの電源を入れられる不安だってまだあった。なにより、陰茎にかぶせられた、精液がたっぷり入ったコンドームが漏れてしまわないかどうかも気がかりだった。  そして、その状態を維持したままの飲食は、とにかく落ち着かなかった。個室とはいえ、周囲の賑やかさはよくわかる。ふつうの話し声ならまだしも、大きな声を出してしまったら、明らかにアウトである。映画館とは違った緊張感に包まれながら、運ばれてくる食事と酒を少しずつ空けていく。  ただ食事をしているだけなのに、聖は悶々としてしまって、食事を終える頃には身体的に限界がやってきていた。情事中を連想させるような上気した頬に、着衣の上からでもわかるほどにパンパンに膨れ上がってしまった下半身の中心部。ゆっくり談笑をしながら食事なんて、とてもじゃないが集中出来ない。  聖のその様子に、誓は当然気が付いていた。全てをわかった上で、楽しみながらニヤニヤと眺めているのである。  ブーッ♡ブーッ♡ブブッ♡ 「あ゙、ん゙ん゙っ♡♡♡」 「聖さん、声聞こえちゃいますって」 「だって、や、はあ゙ッ♡」 「もう電源切りましたから、落ち着いて」  半密室空間で、横並びに座っている誓が聖の背中をさする。ただ撫でられているだけなのに、聖の体はびくんびくんと跳ね上がった。その動きの大きさにビックリしながらも、誓は優しい顔で労わるフリを続ける。明らかに下心でしかなかった。 「あ、あ゙ぁ、は……っ♡♡♡」 「あ、こっちのパフェ美味しそう……聖さんはどれがいいですか?」 「やっ、もう、でた、いっ♡」 「え?」 「ごはんは、もういいから……っ」 「……じゃあ、ホテル行きましょうか?」 「い、くっ」 「このまま今日は解散でもいいんですけど、本当にいいんですね?」  こくりと小さく頷き返す。誓が店員を呼んで会計を頼んでいるやり取りを、ふわふわとした意識の中で聞いていた。

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