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恋のはじまり☆4
『120円になりまーす』
『ちょうどお預かりしまーす』
『ありがとうございましたぁ』
パンを買った遊が、小走りで戻ってくる。
『どうだった?』
『んー、・・・えーと、僕は女の子に見えた・・・よ?
お化粧してたし』
遊の言葉に中野が、
『ほらーっ!やっぱり女の子じゃん!』
俺を 小バカにした顔で見てくる。
むー、悔しい・・・!!
俺だって、ちょっと引っかかっただけで
確信があった訳じゃないっつーの。
『もう!悪かったよっ!
ほれ、今、客いないからコクって来い!』
『はぁ?・・・お前、無責任な・・・!』
『早く行け!行って、粉々に砕けて来い!』
『うるせー!俺は砕けないっっ!
見てろよ!アホ晃っ!!』
そう言うと、
中野は ズンズンと勇ましくレジに向かう。
『あ、こんにちはー』
『こんにちは!・・・すすすすす好きです!』
『・・・・・はい?』
『あ・・いや、あの!・・す、好きでーすっ!』
『え・・・・・?』
『あ・・・・・!』
突然の告白に・・・・された方は ともかく、
した中野も固まってしまった。
『あちゃー、いきなりかよぉ・・・』
『2人とも動かなくなっちゃったね・・』
心配する俺たちをよそに、先に我にかえったのは
レジの子の方だった。
『あの・・それって、私が好きって事・・・ですか?』
恥ずかしそうにモジモジしながら中野に聞く。
『もっっもももちろんです!』
『あ・・・///// えと・・私、もう ちょっとで バイト終わるんで・・・待っててもらってもいいですか?』
『え・・・・、あ、もっもちろんです!』
『じゃあ・・・後で////』
『はいっっ!!よろしくお願いしますっ!』
ぴっちり90度 頭を下げた中野が
猛然と走って戻ってくる。
『な、なあ!?どう?どう?どう?』
『どう?・・・って言われてもなぁ・・・・』
『でも・・・嫌そうじゃなかったよ?』
『遊っ!やっぱり いいヤツ!』
『だぁーっ!抱きつくなって!!』
騒いでいると、「コホンッ!!」と、
隣のレジのおばちゃんが睨みをきかせてきた。
『・・・・・・』
『・・・・・・』
『・・・・・・』
これ以上、仕事の邪魔をしたら悪いな・・・・
という訳で、あの子のバイトが終わるまで
外で待つことにした。
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