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恋のはじまり☆5
───それから、15分くらい経った頃、
『お待たせして ごめんなさぁい!』
その声に "やっとか・・・" と振り向いて・・・
──────!?
俺たち3人は言葉を失った。
さっきまでコンビニの制服だった彼女は全身、
目がチカチカしそうなピンクの透け透け&フリフリ
でっかいリボン てんこ盛りのドレスに身を包み
髪は、ツインテール・・・
ここにも、でっかいリボン付き、
安っぽい、でき損ないのアイドルのような
装いであったのだ。
『『『・・・・・・』』』
えー、えっとぉ・・
いいんだけどぉ・・・
別にいいんだけどぉ・・・
大丈夫なのか?このセンス・・
つーか、この人、この格好で帰んのか・・・?
コンビニの制服姿とのギャップがありすぎて、
いまいち状況が飲み込めない。
中野を見ると、
ヤツも彼女の予想外の姿に絶句している。
どうやら、
普段の格好までは知らなかったらしい・・・
ストーカーのくせに。
『あのぉ、さっきの話ですけどぉ・・・』
固まる俺たちを置き去りにして、
彼女は勝手に話し始めた。
『お気持ちは、とぉっても嬉しいんですけど~
ごめんなさぁ~い!!』
と、あっさりと断ってきた。
石像のように動かなかった中野は、約5秒後
言われた事をようやく理解したようで・・・
『あ・・・、あ、あぁ!
・・あの・・いや!気にしないでください!
大丈夫です!はい。全然!!』
顔をひきつらせながら両手を振る。
・・明らかにホッとした表情で。
おいおい・・・
顔に出過ぎだから、お前。
でも、その子は それに気づいてないのか、
気にしてないのか・・・ニコニコ笑うと、
カバンをゴゾゴソして何かを取り出した。
『あのぉ、もし良かったらぁ、
こっちのお店にも来てくださいね?』
と、言って・・・小さな紙切れを差し出した。
中野だけではなく、俺と遊にも。
『・・・・・?』
見れば、それは名刺だった。
受け取った俺たちに満足したのか、
彼女は満面の笑みを浮かべ、投げキッスなんかしたりして・・・厚底のゴテゴテのブーツを鳴らしながら、足早に去って行った。
『こっちのお店・・・?』
渡された名刺を見ると
そこには・・・
「男の娘 cafe & bar ○○○○
♡ミルキィ♡ 」
と、書いてあっ・・・・・・
────ん?
俺『え・・・・?』
遊『男の・・・娘 ・・・・?』
中野『男の・・・・・娘 』
3人『・・・・て事は・・・・??』
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・え?
え・・・・・・て事は・・・・・・
お、
お、
お・・・
『『『男─────っっ!?』』』
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