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恋のはじまり☆9

すると、俺を見た中野の顔が みるみる歪んで肩が震えだした。 あ、ヤベ 泣く? 泣いちゃう? 『く・・っ、・・・・あ・・晃ぁ・・・!』 な、泣いちゃうーっ!! 『な、中野くん・・・! あ・・・あああ晃くん・・・っ・・・』 遊は、もう どうしていいか分からないって感じで すがるように俺を見てくる。 『あ・・・う、うん・・!』 さすがに笑いの止まった俺は慌てて、 中野の背中を軽く叩いて、慰めようとした。 『う・・・っ・・・く・・・・っ・・』 『・・・あ、えと、な、中野・・・・・』 『く・・っ、う・・・く・・・っ・・・、ふ・・・・・っ・・・ ・・・・・・は・・・っ、はは・・っ・・・・ははは!』 涙を堪えている・・・と思っていた中野が、 突然、大声で笑いだした。 ・・・・・え? 『あはは!はははっ!あははははっ!』 こ、壊れた? 『中野・・・・?』 『中野・・・くん・・・?』 『あーはははっ!はははははっっ!!』 こ、怖い・・・。 怖いんですけど。 思わず、遊と2人、身を寄せあう。 そんな俺たちをよそに、ひとしきり笑った後で 『晃ぁ・・・・・・』 急に名前を呼ばれて・・・思わず身構える。 『え?えーと・・・な、何・・・かな?』 『・・・お前・・・、友達が落ち込んでるっつーのに・・・ そんなに笑うか?普通』 『あー・・・はは・・・ご、ごめん・・・』 『っとに もう・・・  ──ま、お前らしいっちゃお前らしいけど』 『ご、ごめん・・・』 『なあ、晃』 『ん?』 『・・・・・笑い飛ばしてくれて、サンキューな』 『へ?』 『俺・・・今、真剣に慰められたら、本気でへこむ。 ・・・って、まだ かなりショックだけど』 『中野・・・』 『くそぉ!可愛かったぜ、チクショー! 男かよーっ!くそぉ───っ!』 悔しそうに地面を蹴った中野が 夕陽に向かって叫ぶ。 だから、なんなの?これ 青春ドラマ?? さすがにもう笑えないぞ・・・ 『よし!今日は飲むぞーっ!つき合え!』 『えー、いや・・・酒は・・・ちょっと・・・』 『なんでっ!?』 『ほ、ほら!だって俺たち未成年だし・・・』 『・・・・・・・お前、変なとこで真面目だな・・・』 『いや・・・、普通だろ』 でも、諦めきれないらしい中野は今度は遊を誘う。 だけど・・・ 『え?・・・僕も飲まないよ?』 あっさり断られ 地団駄を踏み出した。 『か───っ!信じらんねぇ!! 2人して真面目か!今どき みんな飲んでるって!』 『・・・・・・知るか』 人は人、俺たちは俺たち。 酒にいい思い出なんてないし。 『あーっ!!もういい! こうなったら・・・篠宮先輩と飲むっ!』 切り替えの早い中野は・・・ 「じゃあなー!」と言い残し、 風のように去っていった。 ※未成年はお酒を飲んではいけませんっ!※

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