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恋のはじまり☆13
さすがに年が明けると、母親から買い物を頼まれることもなくなってしまい、必然的にあの公園にも行かなくなっていた。
アイツがどうしているのか・・・
気にはなるけれど、受験もあるし
用もないのに行くには遠すぎた。
それに、行ったところで見るだけ
話しかけることも出来ないのに・・・
自分が何をしたいのか分からないのに・・・
気になる、けれど
いっその事 もう、会わない方がいいのかも
会わなければ、そのうち忘れていくだろう・・・
なんて漠然と考えた。
───でも それは、間違いだった。
そのうち忘れる・・・なんて事はなく
ふとした瞬間にあの悲しそうな笑顔が頭に浮かび
胸が痛くなった。
それでも、なるべく考えないように考えないようにして受験勉強に専念した。
それが、変わったのが 受験当日。
試験の後、面接を受け、部屋から出たら
廊下の椅子に、アイツが座っていた。
最後に見たときと同じ、
何もかも諦めたような生気のない表情・・・
その姿を見た途端、
カァッと胸が熱くなるのが分かった。
ドキドキと心臓が高鳴る。
この高校、受けたんだ・・・
受かったら、会えるんだ・・・!
そう思うと嬉しくなった。
どちらかが、───もしくは2人ともが、
「落ちる」なんて事は微塵も頭に浮かばなかった。
* * *
そして、入学式当日
俺とアイツは同じ高校に入学した。
姿を見つけた時は、ガッツポーズするほど
嬉しくて・・・
でも、クラスが違うし、お互い部活にも入らなかったし、接点が全くなくて話しかけることも出来ない。
時々、廊下や校庭や登下校の時に見つけては、
ドキドキしながら ただただ見つめる・・・だけ。
そんな風に 1年は あっという間に過ぎていった。
話したい、友達になりたい、
そんな俺の願いが通じたのか
2年生になって同じクラスになれた時は、
踊りたいくらいマジで嬉しくて嬉しくて!
( ──って、ホントに踊っていて、
周りの友達に心配されたんだけど )
名前が「篠宮 遊」だって 知れたのも
すごくすごく嬉しくて。
「志田」「篠宮」だから席も前後、
日直とか一緒にやれて、自然に話す事も増えて・・・
俺の毎日は充実していた。
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