309 / 761
恋のはじまり☆25
遊に連れられて、着いたのは空いた教室だった。
『あ、あの・・・遊?』
教室に入るなり手を離して、
そのまま黙りこんでしまった遊。
怒ってるのか、
泣いているのか・・・
俯いたその表情からは読み取れない。
『ゆ、ゆー・・・』
反応なし・・・
どどど、どうしようっっ!
よし。も1回・・・・!
『ゆ、ゆー・・・・・?』
うー、反応・・なし・・・(涙)
どーしよーっっ!
これ・・・、どうしたら いいのー?
『ゆ・・・ゆ・・・・ゆぅ~・・・・・』
困り果てた俺・・・。
情けない声が出る。
すると───
『ふ・・・・っ、ふふ・・・』
なにやら くぐもった声が・・・・・
『・・・・ゆ・・・?え?遊?』
『あはは』
わ、笑ってる・・・?
え?
なんで?
あまりの状況に、ポカンとしていると・・・
『・・・反省した?』
『・・・は・・・・、え?』
さっきまでの暗い表情は、嘘のように消え
悪戯っぽく笑う遊。
『聞かれちゃったものは どうしようもないし
ワザとじゃないから いいんだけど・・・
でも、やっぱり恥ずかしいから反省してね?』
『────は、はい!』
『あとね?』
『う・・、は、はい!』
『実はね?』
『・・・・・・・・・??』
遊は、持っていたカバンをゴゾゴソ
大きな包みを取り出した。
『今日は、お弁当、作っちゃったんだ♪』
『は・・、へ?・・・・え?』
聞けば、お昼休みに中野と会うのが恥ずかしかったから・・・らしい・・・けど。
『中野くん・・・今日は見ないからいいかって思って
食堂に行ったんだけど・・・・
考えてみたら、食堂でお弁当 広げるのも恥ずかしいよね?! だから、逃げて来ちゃった♡』
えへへ、と はにかむ遊。
あー、そうかぁ。
って、・・・そう?
手作りのお弁当って恥ずかしい・・・のかな?
俺は、見せびらかしたいけど?
遊が、作ってくれたんだよー、って。
そう言うと、遊は また嬉しそうに笑ってくれた。
よ、よかったぁ・・・・・
怒ってなくて・・・・・
ともだちにシェアしよう!