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甘い生活…?☆5

*** 遊・side *** そんなに遠くないから、と 歩いて移動して 連れて来られたのは・・・・・ 『えと、どこ・・・・・?ここ』 『ここは、俺んち』 『え?俺んちって』 『だから、俺んち』 『えー』 晴臣さんのアパートだった。 鍵を開けて中に入った晴臣さんに促されて お邪魔すると・・・僕は驚きで固まってしまった。 『え・・・?住んでるの・・・?ここに?』 『あー、うん。一応な』 『一応?え・・・・でも・・・』 ───どうやって? ってくらい・・・部屋に生活感がない。 いや、 生活感どころか・・・・家具も何にも無いんだけど? 『えーと実は・・・・・俺、引っ越すんだ』 『え?』 ひ、引っ越す? 『荷物は、ほとんど運んだから・・・。 今は掃除しに ちょこちょこ帰るくらいで だから、もう荷物はほとんどないんだ』 『え?え?引っ越すって・・・どこに? 新見さんのとこ?』 『ううん・・・・・』 ええ??違うんだ! 『に、新見さんは?知ってるの?』 『知ってるよ』 『えー?な、なんで?』 なんか、質問ばっかりになっちゃうけど 気になって聞かずにはいられない。 『うん、俺・・・さ、 ずっと英道に甘えてばかりなのがイヤで・・・ 朝は必ず一緒に通勤してくれたり、 何かあると迎えに来てもらったり・・とか・・・ そうゆうの、いい加減やめないとって思って・・・』 『・・・・・・』 『俺なりに色々 考えたんだ。 これからもずっと英道と つき合っていくんなら、 俺だけが与えられて・・甘える関係じゃダメだって。 だから・・・』 『・・・引っ越す事にしたんだ?』 『うん。ちょうど職場の近くに空いてる物件が 安く見つかって・・・。そこ、歩いて行ける距離だし いいかな、って』 『そう・・なんだ。・・新見さんは? 賛成してくれたの?』 『うん・・・いや、最初は反対された。 だから何度も話し合って・・最後は分かってくれた』 『そう・・・かぁ』 なんだか・・・意外。 引っ越す、って聞いた時は・・・新見さんと一緒に暮らすのかな・・・とか、一瞬 頭を掠めたんだけど・・ それにしては思い詰めた顔してるし違うかなって思ったら・・・そっかぁ。 これ、すごく勇気のいる決断・・だよね・・・ 甘えるだけの関係はイヤ、なんて、 晴臣さんの男らしい一面を知れた。 『遊と晃んちから、ちょっと離れちゃうんだけど・・・ また連絡するからさ、会ってくれる?』 『・・・もちろん!』 不安そうな晴臣さんに僕は精一杯 明るく答えたのだった。

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