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甘い生活…?☆52
* * * 遊・side * * *
『お前ら、バカじゃねーの?』
・・・と、僕たち以外、誰もいないハズの部屋に
轟く低音ボイス。
え・・・・・・・・?
この・・・声・・・
まさか・・・・!
ギッ、ギッと音がしそうなくらい
ギッチリ固まった体を捻って
恐る恐る振り返れば
そこにいたのは・・・
『──────っ、か・・・薫さんっ?!』
『・・・・・・・・チッ』
不機嫌そうな顔で、仁王立ちしている
・・・・・・・・薫さんだった。
『げげっっ!ててててんちょーっっ?!
な、なんで ウチ・・・にぃぃぃぃいたぁーっっ!』
『あ、晃くん!!大丈夫??』
思いもかけない薫さんの登場に
ビックリして急に起き上がった晃くんが
痛みに悶絶する。
『よぉ。元気そうだな、晃。』
『どどどどどこが・・・・ですかぁ!』
『ほーん。じゃあキスしてもらえよ。早く。』
『うがぁ・・・っ!』
晃くんと同じように、ビックリして固まっている
僕を押し退け、ベッド傍に行った薫さんは
コトもあろうか晃くんの腰をグリグリ踏みはじめた。
『うがぁっっ!!い、いだぁっ!!』
『ちょ・・・・っ、薫さんっっ!!』
慌てて止めに行く・・・・けれど
薫さんはビクともしない。
『ほれ。キスしてもらえよ。』
グリグリ
『いだっ・・・!いだだだだっっ!!』
『ちょ・・・、なにしてんの・・っっ!!』
『はーやーくー。ほーれほれ。』
グリグリグリ
『うぎゃ──────っっ!!!』
『か、薫さんっ!やめてっっ!』
渾身の力を込めて押すと
ようやく薫さんが晃くんから離れた。
『アホか。大袈裟なんだよ、てめー。』
『いた・・・っ!痛いですって・・・マジで!』
『はん。・・・ま、いいや。遊。』
『え・・・・?なに?』
『こっち来い。』
『え?』
『来ないとまた晃を踏むぞ?』
『・・・・・・・・』
なに、その脅し・・・・
『ちょ・・・!店長?!遊に・・・何を!?』
『いーコト♪お前は寝てろ。』
『え?いーコトってなにっ?!』
薫さんは晃くんの問いかけに答える事なく
僕を引っ張る。
うーん。
これ以上 晃くんを踏まれたら困るし・・・・
仕方ないか。
起き上がれない晃くんを置いていくのは
気が引けるけれど
僕は、薫さんに連れられ
キッチンの方へ向かう事にした。
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