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甘い生活…?☆53
* * * 遊・side * * *
『ったく・・・あのくらいで情ねーヤツ。』
キッチンに来た途端、悪態をつく薫さん。
いやいやいや。
あのくらいって・・・・結構な力で踏んでたよね?
『あー、ムカつく。マジ、ムカつくわー。』
『あのねぇ!だからって、踏んじゃダメでしょ!
・・っていうか、どうやって入って来たの?!』
『あ?ああ。鍵、開いてたから。』
『え・・鍵?あ・・・・あれ?』
・・・・・・・・あ!そーだ!
晃くんを運ぶのに必死で・・・・
鍵かけるの忘れてたっっ!
『───って、普通、勝手に入ってくる・・・?』
『あ?お前、俺を誰だと思ってんだよ。』
『薫さん・・・・。』
『だろ?』
『・・・・・・・・・はぁぁ』
相変わらず、日本語が通じない・・・・。
何言ってんのかな?この人は。
『ま、それはいいとして。・・・これ。』
『・・・・・・・え?』
薫さんが指差したのは
ローテーブルに置いてある大きな箱。
・・・・・って、これ、何?
『新見が世話になったから、俺から。』
『なんですか・・・?』
『ああ?見たら分かんだろが。弁当だ。』
『え・・・・・・!』
お弁当?
これが?
なんか・・すごく高そうなんだけど・・・・。
『これ、僕たちに?いいんですか?』
『ああ。俺の下僕・・・いや、ダチがな、
仕出し屋にいるから。』
『・・・・・。』
“ 下僕 ”
なんだろう・・・・
聞いてはいけない単語が聞こえた気がする・・・。
・・・・んー。
聞かなかった事にしよう。
うん。
『・・・ん?って事は、
今日の引越しって薫さんも手伝ったんだ?』
『あー、まあな。俺は今日だけじゃねーけど。』
『え・・・・。』
『今日は、時間ねーから人手が欲しいって言われてな。
ま、面白そーだし。下僕・・・いや、ダチ連れて。』
『あ・・・・あはは・・・そーなんだぁ。』
『まー、晃は戦力外だったけどな。』
『・・・・・ははは・・・・。』
晃くん ( 腰、壊すほど ) 頑張ったのに・・・・。
『まー、そうは言っても晃も巻き込まれたクチだからな。弁当は俺からの労いだ。じゃーな。』
『え・・・・、帰るの?あ、ありがとう、薫さん。』
『あ、それと仕方ねーから、
2・3日バイトも休んでいいって伝えといてくれ。』
『え。あ、はい。』
『いてもいなくても変わんねーから大丈夫ってのも。』
『え?・・・も、もう・・・なにそれ!』
『ははは。じゃーな。』
『・・・・・・・・。』
むくれて返事もしない僕を見てた薫さんは
面白そうに笑うと、さっさと背中を向けて
ひらひら手を振って・・・出て行ってしまった。
もー!
なんかもう・・・!
晃くんをからかったり苛めたり
お弁当くれたり・・・・
いい人なんだか、悪い人なんだか!!
もーっっ!!!
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