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贅沢な悩み☆1
*** 晃・side ***
新見さんと晴臣さんが引っ越しをしてから
ちょうど1週間。
俺たちは、2人で新居を訪ねる事にした。
電車に揺られ、最寄り駅で降りると
新見さんが車で迎えに来てくれていた。
『あれ?この車・・・。』
引っ越しの時にも、乗ってたよな・・・。
まだ、借りてるのかな・・?
聞くと、新見さんは、「買ったんだよ。」
とニヤニヤ笑いながら言った。
『え!買ったんですか?』
『そ。中古だけどな。』
『へぇ・・・・。』
『これで、毎朝 ハルを送るのが楽しくてさー♪
買って、正解だった。』
『へぇ・・・・。』
『え?でも、歩いて職場に行ける・・って
晴臣さん、言ってた気がするけど・・・?』
遊が、不思議そうに聞くと、
『あー。ハルが借りようとしてたアパートからは
遠くなったんだよ。』
苦笑いしながらも、ホントに楽しそう。
『・・・相変わらず、過保護ですね・・。』
『ん。人を甘やかすのがこんなに楽しいなんてなー。
もうハルが可愛くて可愛くて仕方ねーんだよ♪』
『・・・ははは。』
新見さん・・・デレデレに目尻下げちゃって・・・
初めの頃と随分 印象が変わったなぁ
でも、
新見さんに憧れる気持ちは、変わらず俺の中に
ずっとある。
・・・こんな風になりたいって思わせてくれる、
そんな存在だ。
いいなぁ・・・。
俺も遊を甘やかしたくなってきた。
隣に座る、遊の手をギュッと握りしめる。
遊は、キョトンと俺の顔を見て
気持ちを察してくれたのか
にっこり笑って、指を絡め直して
恋人繋ぎにしてくれた。
ああ・・・・幸せ。
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