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贅沢な悩み☆8
* * * 晃・side * * *
『えー。俺も薫ってヤツに会ってみたいなー。
今度、居酒屋 行ってもいい?』
と、晴臣さんが新見さんに聞いたのだけど・・
新見さんは渋い顔をして一言。
『ダメだ。』
『えー!なんで~?』
『ダメだ。アイツに喰われる!』
『え?喰われる?・・・俺が・・・??』
多分、晴臣さんは「喰われる」の意味
分かってないんだろうなぁ・・・
んー。でも、まぁ・・・
いくら店長でも新見さんの恋人の晴臣さんに
手は出さないと思うけど。
『あー。うん・・・喰われはしないか・・・。
あ。でも、えげつないくらい
からかわれるのは覚悟しなきゃ、だな。』
『・・・そうなの?そんな感じのヤツなの?』
晴臣さんが俺・・・ではなく遊に確認する。
聞かれた遊は
『う、うーん。そうだね~。
根っから悪い人ではない・・・と思うけど
ん~。なんというか・・・意地悪で
たちが悪くて、俺様な人・・・って感じかな~。』
ニコニコ笑いながら(結構 ヒドい事を)
サラリと言ってのけた。
俺はコクコク頷き、
新見さんは「ぷはっ」と吹き出す。
『えー。マジか・・・、じゃあ、やめとく。』
『ま、それが賢明だな。』
『だよな~。』
『だよね~。』
すっかり納得した晴臣さんは、
また幸せそうな笑顔でケーキを堪能して
それから後は、
晴臣さんの部屋とか新見さんの仕事部屋 兼 寝室とか
いろいろ見せてもらって、
また車で駅まで送ってもらった。
☆
☆
☆
『あ~、楽しかった♪』
『遊園地、連れてってもらえるね。よかった。』
『うん。冬休みの楽しみができたね。』
『うん。──あ、そうだ!
全部は無理かもしれないから
乗りたいアトラクション決めとこ?』
『あ、そっか。うん♪』
『並ぶかもしれないから
あったかくして行かなきゃね!』
『うん。』
電車に揺られながら、遊園地についての
話をしていると・・・
『なんか・・・こんなに楽しくて、いいのかな・・・・。』
不意に遊がポツリと呟いた。
『え?』
『なんか、幸せすぎて・・・ちょっと怖い。』
『遊・・・・。』
『僕ね・・・いつも・・心のどこかで、
いつか この幸せが終わっちゃうんじゃないかって
・・そんな事 考えちゃって不安になるんだ・・・』
『───ゆ、遊・・っ!そんな事ない!』
『晃くん・・・・。』
『終わんない!だって遊は俺が幸せにするんだから。
俺が ずっと一緒にいるから大丈夫!ね?』
『・・・・・・・うん。』
それでも不安そうな遊に俺は、
そっと・・・誰にも気づかれないように
遊の手を ギュッと握りしめる。
遊は、俺をじっと見つめてから
フッと嬉しそうに笑うと指を絡めてきた。
『ふふ・・・。幸せすぎて怖い・・・なんて、
すごく贅沢な悩みだよね。』
『不幸せで怖い、より全然いいよ。』
『あはは。確かに。』
『だからさ、怖いのも気にならなくなるくらい
いっぱい楽しいことしようよ。・・・2人でさ。』
『うん・・・・・うん。ありがと、晃くん・・・。』
窓を見ると、夕陽がキラキラ輝いてて
キレイなオレンジが俺たちを照らす。
なんでだか よく 分からないけど・・・
泣きたくなるくらい幸せで、
手を繋いだまま・・ただ黙って2人で眺めた。
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