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中野くんのその後☆3
つい、うっかりOKしてしまった俺。
仕方なく、2人で並んで歩く。
見た目は女の子だけど
恋人でも友達でもない赤の他人と
手を繋ぐとか、腕を組むとか、
そんな事出来ないから、微妙な距離感を保ったまま。
かなり ぎこちない。
周りには ただの
初々しいカップル・・・・とかにしか
見えないんだろうなぁ。
───つーか、
なんで俺、コイツと歩いてんの?
・・・なんだよ、デートって。
思わず、大きなため息をつくと、
俺が怒ってると思ったのか
ヤツは 申し訳なさそうに謝ってきた。
『あの・・急にへんな事、お願いしてすみません。
・・クリスマスに独りは淋しくて、つい・・・』
『ああ、いや・・まぁ・・・。』
───まあな。独りは淋しいよな。
・・・・・・・ん?
って事は、ヤツも 一緒に過ごすヤツいないのか?
へー。
なんか意外。
『あ、そういや、話ってなに?』
『あ・・・、そ、そうですね・・・!
あ、あの、公園 行きませんか?』
そう言われて、近くにあった公園へと足を運び、
ベンチに座る。
『えーと。あの・・・あの時はすみませんでした。』
『あの時?・・・あぁ、コクった時の事?』
『・・・・・・・・はい。
あの、ホントは私・・・あの告白・・・
すごく嬉しかったんです。
その・・・・毎日 コンビニで見てて
あなたを見てて好きになってたから。』
『─────っ!?・・・ へ、へぇ・・・・?』
平静を装うものの内心は心臓バクバクだ。
───な、なに!?
いきなり、なに!?
つーか、なんで今さら
そんな事 言い出したんだ!?
『・・・でも、あなたは・・・
私の事を女の子だと思ってたでしょ?』
『・・・・・・え?あー、・・・・・うん。』
『だから・・・コクった後で私が男だって分かったら
絶対に フラれちゃうんだろうなって思って。
だったら断った方がいいのかなって、それで。』
『・・・・・へ、・・・・へー。』
『でも、あれから・・・あなたが来なくなって、
会えなくなって、すごく後悔したんです。
男だって事も、好きだって事も・・・きちんと伝えて
フラれるべきだったって。』
『・・・・・・・・。』
真面目な口調にウソはなさそうで
何も言えなって俺は ただ じっと座っていた。
すると、ヤツは スッと立ち上がり、
俺の目の前に来て、深々と頭を下げてきた。
『私、男です。
・・・でも、あなたが好きです。』
『・・・・え、・・・・え?』
『フッてください。』
『・・・・・・・・え?』
『私をフッてください。』
1度、頭を上げ、俺の目をしっかり見てから
また頭を下げた。
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