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誤解と誤算★6
* * * 晃・side * * *
────翌日。
あの後、遊の部屋の前で
何度も謝って
” 話がしたい ” と、お願いしたんだけど・・・
天岩戸と化した遊が出てくる事はなく、
すごすごと自室に戻った俺。
壁に耳をつけて
遊の部屋から物音がする度、飛び起きて
様子を伺って・・・
結局、ほとんど眠れないまま 朝を迎えた。
それでも、朝方 うとうとしてしまって
アラームで目が覚めて、慌てて起きた時には、
遊の姿はなかった。
☆
☆
☆
こんな事・・・
前にもあったな・・・。
大学の講義室で、机に突っ伏して思い出す。
あれは・・・俺が店長にイタズラでお尻に
指 突っ込まれたのが遊にバれた時だ・・・。
あの時も・・・
遊は、講義が始まる寸前に入ってきて、
終わると姿を消してた。
それは、今日も同じで・・・・
『はぁ・・・・』
遊・・・・
ちゃんと会いたいよ・・・・
話がしたいよ・・・・
『よぉ、晃。』
話しかけてきたのは、
『中野・・・・・・・・』
『なんだ?お前が1人なんて珍しいな。』
『・・・・うん・・・』
『なんかあったのか?ケンカ?』
『・・・・んー・・・』
『何があったんだよ。』
『・・・・・・』
そういえば・・・・あの時も
こうやって心配して声をかけてくれたっけ。
いや、だからって理由は言えませんけども。
『ま、早く仲直りしろや。』
心配してそうな素振りはしつつも
そんなに本気で心配してなさそうな感じの中野。
スマホを手にニヤニヤ笑いながら、なにやら
熱心に打ち込んでいる。
『中野・・・お前の方こそ、なんかあった?』
『ん?んふふ♪ まあなー♡』
『んふふ?なに!?
まさか・・・・彼女でも出来たとか!?』
『あー、ちゃうちゃう。彼女とかじゃないから。』
『へ?違うの?』
『・・・友達になったんだ。』
『・・・・は?トモダチ?誰と?』
『えーと、前 俺がアタックしてフラレた
例のコンビニの男の娘。』
『男の・・・・・・・、っ!?え?え?
あのコ!?え??マジでっ?!』
『うん。ばったり会ってさ~。
話してみたら いい子でさ~。
あとさ、実は俺の事、好きだったんだって。』
『え?そうなの???え?つーか、付き合うの?』
『いやいやいや!だーかーらー!
友達だって!
俺、男と付き合う気なんてねーし。』
『はあ・・・・?』
『いや、その、なんだ・・・・
向こうが友達 でいいって言ったんだよ。』
『え・・・・でも・・・・それは・・・お前・・・』
『あー、もう!俺の事はいいって。
自分の心配しろよ。』
中野は訝しげにしてる俺が煩わしくなったのか
勢いよく立ちあがると、
『じゃあな!』
と、一言。
さっさと 教室を出ていってしまった。
『おいっ・・、お・・・・、行っちゃった・・・・』
なんだか、1人になった途端
猛烈に寂しさが押し寄せてきて
遊が隣にいないって現実に
胸が押し潰されそうで・・・・
俺はまた 力なく 机に突っ伏した。
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