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誤解と誤算★8
* * * 晃・side * * *
『ゆ、遊?どうしたの?どこにいるの?
ごめんって何?!何かあったの?!
大丈夫なの!?ゆー!?』
遊の様子が気になって
捲し立てるように聞いてしまう。
でも、遊からの返事はなくて・・・・
微かな息づかいが聞こえるから、
遊の言葉を聞き漏らさないようにと
スマホを耳に押し当てて待つ。
『あの・・・・ね・・・』
小さく、弱々しく震える声。
これは、もう何かがあったんだ・・・と、
膝から力が抜けそうになるのを必死に堪えていると、
急にガサガサと音がして、
『あ、もしもしぃ~?』
突然、間延びした男の声に変わった。
『───っ、んなっ!!』
耳に全神経を集中していたところに、
急に大きな声が聞こえてきたもんだから
スマホを落としそうになる。
び!びっくりした・・・・!!
────つーか、誰?
キーンとする耳を押さえながら
スマホをマジマジと見つめていると
『もっしも~し。聞いてます~?』
呑気な声がまた聞こえてきた。
───いや。つーか、マジで、誰?
『は、はい・・・っ!聞いてます!』
『えぇっと。キミ、志田くん?・・だよね?』
最後の言葉は、声が遠くなって
どうやら遊に確認を取っている様子。
誰だか分からないけど、遊と一緒にいるらしい。
『あ、失礼。志田くん?』
『は・・・はい・・・。』
───やっぱ、聞き覚えのない声。
誰だよ、コイツ。
まさか、コイツと2人きりなのか?
って、不安になってくる。
が、聞くまでもなく その人は正体を証してくれた。
『えぇと、大学内の保健室の者ですけど~。』
『・・・・え?・・・保健室?』
『はい。えっとね、一応 確認しますが
キミは篠宮くんのお友達ですよね?』
『え?あ、はい、そうです!』
『よかった。あのねぇ、篠宮くん
熱だして フラフラ歩いてたみたいで、
ここに連れて来られたんだけど・・・』
『・・・えっ!?ね、熱っっ!?』
『そう~。でぇ~、迎えに来れます?』
『い、行きますっ!すぐに行きますっっ!』
『はいは~い。じゃあ、よろしく~。』
やっぱり呑気な声のまま、プツンと電話が切れた。
遊が見つかった事で、安心して・・・
俺の膝は体を支えることを放棄したらしく
力が抜けてしまって・・・ヘナヘナと地面に座り込む。
よかった・・・。
いや、よくはないけど。
とにかく、変な事に巻き込まれてなくて
よかった。
急いで保健室に行かないと!
まだ、ガクガクする膝を押さえて、
立ち上がると、俺はヨロヨロと歩き出した。
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