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誤解と誤算★9

* * * 晃・side * * * ───っていうか、保健室ってどこ!? 確か、こっち・・・・だっけ? いや、あっちかな? いや・・・、どっちーっ!? 有難い事に? 大学に入ってから 1度も保健室の お世話になった事がない俺は 道行く人を捕まえて、場所や行き方を聞きながら 漸く たどり着く事が出来た。 『し、失礼しまーす・・・』 ガラガラ・・・と戸を開けると、 壁際の机に向かっていた白衣の男性が振り返った。 思ってたより、若い。 つか、おネエっぽい。 『あ。えっと、志田くん?』 『は、はい。』 『あー、よかった~♪いらっしゃーい♪ えっとね~、さっき解熱剤は飲ませたんだけど~ ここでは応急処置しか出来ないし~、 きちんと病院で診てもらった方がいいかも~。』 『・・・あ、はい。』 思ったより、声低い。 つか、しゃべり方 ウぜぇ。 んで、やっぱ おネエっぽい。 大丈夫か?ここ・・・ 『ただの熱ならいいけど~ インフルエンザかもしれないしね~?』 『イ、インフルエンザ・・・!?』 『うん。熱が高いからね~。予防接種してる?』 『や、してないです。』 『ふ~ん。そっか~。まあ、とりあえず来て~?』 そう言いながら、白いカーテンの中へと入っていく保険医の後ろを着いていって覗くと、遊が・・・赤い顔で苦しそうにして寝ているのが見えた。 『ゆっ、遊・・・・っ!』 『うん。寝てるからね?静かに~。』 『───はっ!・・・す、すみません・・・。』 『まあ、心配だよね~。で、どうする?  もう少し ここで寝かせてあげて~、  様子みても いいんだけど~、すぐ帰る?』 『え?え、えーと・・・』 『まぁ、どっちでもいいけど、とりあえず  これ、あげる。』 渡されたのは、マスク。 『・・・・・・・・・??』 ───なんでマスク? 不思議に思って保険医を見ると、 彼は にっこりと笑った。 『予防だよ~。  インフルエンザだったら感染(うつ)るでしょ?  そしたら、篠宮くんが元気になる頃に  今度は君が倒れるよ~?』 『ああ・・・!なるほど。そう、ですね。』 『彼氏のこと、心配だろうけど~  一晩中 傍いない方がいいかもね~。』 『え?か、彼・・・って、え?』 『違うの?』 『いや・・・、えっと・・・彼氏です。』 『うふふ。君、かわいいね~。』 『は?』 なぜか楽しそうな保険医は ニコニコと俺の頭を撫でてきた。 か、かわいい!? 俺が!? な、なに、コイツ! おネエっぽいとは思っていたけど もしかして・・・そっちの人!?

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