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誤解と誤算★10

* * * 晃・side * * * 『あれ?なんか引いてる?  あ、俺、そっちの人じゃないからね~?』 『は?え?違うんですか?』 『うん。えっとね~、まあ・・・  可愛いモノは何でも好きなんだけどね~。』 『はあ・・・・。』 『まあまあ、俺の事はいいから~。  で、どうするの?すぐ帰る~?』 『あー、いや、よく寝てるんで・・・  しばらく ここに居てもいいですか?』 『うんうん、い~よ~。どうぞ~。』 『ありがとうございます!』 ───軽いな~・・・ 授業に出ろとか言わないんだな、この人。 ま、助かるけど。 もらったマスクをして、遊の傍のイスに座る。 眉間にシワを寄せた苦しそうな顔をしばらく 眺めていると、保険医が話しかけてきた。 『あ、そうだ~。篠宮くんね?』 『はい?』 『ずっと君の名前 呼んでたよ。』 『え・・・・。』 『すっごく君の事、好きなんだね~♡』 『・・・・・////。』 『かわいいね~、篠宮くんも。』 『・・・ええ!そりゃもう!・・・って!え?え?』 机に向かってゴソゴソしていた保険医は くるりとイスごと、こちらを向く。 『2人とも可愛いからさ~♪  今度、2人の写真撮らせてくれない?』 『・・・・・・へ?写真?』 ──な、何を言ってるんだ、コイツは! ─と、やたらカラフルな・・・ 保健室には不似合いな色味の机が気になり 目をやると・・・ そこには アイドルの写真や、 雑誌の切り抜きが山のように置いてあって・・・ 一気に血の気が引いた。 『な、なんだ、それはっ!!』 『え?ああ、これね~、可愛いでしょ?  俺のコレクション~♪』 とか言いながら スクラップブックのようなモノを俺に見せてきた。 可愛い・・・? 可愛いって・・・! 全部、じゃねーかっ!! 『あ、あああんた、やっぱり・・・・』 『ん?えー?違う、違う。  俺は見るだけで満足なんだよ~?  男に突っ込んだり、突っ込まれたり、なんて  考えた事ないからね~?』 『突っ込・・・・(汗) 』 『だから~、可愛いモノが好きなだけで  コレクションが趣味なんだよ~♪』 『あんた・・・よく雇われたな・・・』 『ああ。まあ、本性 隠してるから?』 『本性って・・・あんたみたいな危険なヤツが  保険医なんて・・・危なっかしいっ!』 『ヤダなぁ、危険じゃないよ?  それに、誰にも手は出してないから大丈夫~。』 『そういう問題っっ!?』 『勝手に写真 撮ったりしないし~、  ちゃんと許可もらってるし~。』 『それは人間として当たり前でしょーが!』 『いや~ん、君、厳しいね?』 全然こたえてない様子で保険医は キャタキャタ笑い出す。 ───どうしよう。  どんどんおネエ度が 増していく気がする・・・ 黙ってりゃ、そこそこのイケメンなのに。 なんなんだ、コイツ・・・!

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