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誤解と誤算★12
* * * 晃・side * * *
『あき・・・らくん・・・僕・・・歩ける・・・よ?』
大学の中を、おんぶして歩いていると、
遊が背中に顔を押しつけてくるのが分かる。
『ん・・・?恥ずかしい?』
『んーん・・・あの・・・重い・・でしょ?』
『大丈夫 大丈夫~。駅まで、おんぶさせて?』
『・・・・うん・・・・』
それ以上 何も言わず、
また顔が背中に押しつけられたのが分かった。
歩けるって言ってたけど
ホントは、ものすごくダルいんだろうな・・・・
早く帰ろう。
ゆっくりと出口に向かって歩いていると
後ろから名前を呼ばれた。
『晃っ!』
『ん?』
『おいっ!大丈夫かよ?』
バタバタとこちらに走ってくるのは
さっき学食で別れた中野だった。
『あー、うん。
遊、熱 出しちゃってさ・・・帰るとこ。』
『熱~ぅ?・・・ああ・・マジで顔色、悪いな。
お前1人で平気か?俺、着いてこうか?』
『平気だよ。ありがとな。』
『ありがと・・・中野・・・くん。』
『おー、うん・・・そっか・・・。』
それでも心配そうに離れない中野。
とっても有り難いんだけど、
お前、出席日数ギリギリで単位もヤバいって
言ってなかったっけ?
今ここで、俺たちと居て大丈夫なんだろうか・・・。
俺は、お前の方(単位)も心配なんだけど・・・。
・・・・・・・・・
ま、いっか。
今は遊、優先!
☆
☆
『じゃあな。』
結局、ぐったりしている遊を心配した中野は
駅まで着いてきてくれた。
『なんかあったら電話しろよ?』
『うん。サンキュー』
持っててくれた俺と遊の荷物を受け取って
改札を抜けるとタイミングよく やって来た
電車に乗り込んだ。
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