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誤解と誤算★13

* * * 晃・side * * * 平日の午後、 中途半端な時間だからか電車は空いていて 長椅子に並んで座る事が出来た。 駅からマンションまでは、また おんぶして歩く。 大の男が大の男を おんぶしてる姿を すれ違う人が じろじろ見ているのを ひしひしと感じてはいたけれど そんな事はどうでもいいんだ。 今は遊、優先!! 遊のためなら、何のその! これぞ愛のパワー!! そうやって、なんとかマンションに到着。 『よし・・・着いた~!』 普段は力の弱い俺だけど 遊を連れて帰って来れた達成感で 疲れなんて 微塵も感じない。 俺が出来ることは それほど多くない。 だから、こうやって遊のために何かが出来る・・・・ それは、俺にとっては最高に幸せで 最高の活力源になるんだ。 これぞ愛のパワー!! さて、遊を部屋に・・・・ ────って、どっちの部屋に連れてこう? 気持ち的には俺の部屋なんだけど・・・ ゆっくり休むなら遊の部屋かな・・・? 『────うーん・・・・』 ま、いっか。 いつも一緒に寝てる 俺の部屋にしよ。 ベッドの方がお世話しやすいし。 ───俺の匂いも染み付いてるし? なんて、こじつけの理由をつけて。 ゆっくり遊を降ろして、まずは熱の確認。 うん。大丈夫そう。 『遊、なんか飲む?』 『・・・うん・・・』 『取ってくる、待っててね。』 冷蔵庫からスポーツドリンクを取って 急いで遊の元へ。 横になったまま飲めるように ストローをさして 口元へ持っていくと 遊は美味しそうに ごくごくと半分近く 飲んだ。 『遊、汗かいたよね?着替えよっか?』 『・・・・・・・・ん・・・』 今度は着替えを取りに遊の部屋へ走る。 でも戻ってきた時には・・・遊は眠ってしまっていた。 『わ・・・・寝ちゃったか・・・・』 着替えさせたいけど起こすのも忍びない・・・・ とりあえず服を緩めて、ズボンのベルトを外して 拭けるところだけ 温かいタオルで体を拭いた。 よし。 ひとまず これでOK・・・・かな? このまま、熱が上がらないといいなぁ。 遊の寝顔を見つめながら、 そんな事を考える。 でも・・・そんな俺の願いは 虚しくも外れてしまう。

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