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誤解と誤算★16
* * * 晃・side * * *
『こんばんは~。』
『こ、こんばんは!あの、遊を・・・・遊をっ!!』
捲し立てるように詰め寄る俺に動じた様子もなく
のんびりと靴を脱ぎながら、
やっぱり にこにこ笑う。
『うんうん。えっと、お邪魔するね~?』
『あっ!はい!どうぞ・・・っ!』
先に回って、俺の部屋に案内する。
ベッドに横たわる遊を見た保険医は、
『あらら・・・これは これは。』
と、不安になるような事を呟きながら
遊の元へ歩いていく。
『ごめんね~、大学じゃあさ~、
あくまで保健室だから設備も整ってなくてさ~。
ちゃんとした診療所がある大学も
あるんだけどね~。』
『え?』
『言い訳じゃないけど
応急処置しか出来なかったから
俺もちょっと気になってて・・・
電話も勝手に登録しちゃって~、ごめんね?』
『え・・・?いや、その辺は とりあえず
どうでもいいから、遊を診て下さいっ!』
『はいは~い。』
カバンから、聴診器を取り出して、
遊の体にあてている姿は真剣そのもので・・・
よかった、普通のお医者さんだ・・・
と、安心する。
しばらくして、診察を終えると。
『うーん。えっと、試薬で調べた結果・・・
インフルエンザではないね~。熱風邪だね。』
『あ・・・・・そう・・・ですか・・・・。』
『とりあえず、安静にして~
水分は しっかり摂らせてね?
食べられるようならでいいから
栄養のあるものを食べさせてあげて?』
『はい・・・はいっ!』
『えっと、あとね?』
急に真顔になって、俺にズイっと顔を
近づけてくる。
『は・・・・はい?』
怖い・・・。
怖いって・・・
なになに?
なんか あんの?
───と、突如
『元気になったら写真 撮らせてね?』
真剣だった保険医の顔が・・・
へにゃーんと 崩れた。
『・・・っ!?は、はあ!?』
また それかいっ!
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