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誤解と誤算★21

* * * 遊・side * * * ───翌朝。 「起きて待ってるから」 晃くんが そう言ってくれたのに・・・ 泣き疲れて眠ってしまった僕。 布団も敷かずに、畳の上で寝たからか 頭が痛くて、少し体がだるかった。 なんとなく後ろめたくて・・・逃げるように、 先に家を出て大学へ向かった。 話したいのに、勇気がでなくて 講義が始まる直前に入って、終わると同時に出る。 こんな事、前にもあったな・・・ 僕、全然 成長してないや・・・ なんて思いながらも、教室に入ろうとしたところで なんだか、世界が ぐるぐる回りだした。 わ・・・、なにこれ・・・ どうしよう・・・ これじゃ講義 受けるのなんて無理そう・・・ とりあえず、どこかで休めるところを探しに 廊下に出た・・・けれど まっすぐ前に歩いているつもりなのに 何度も壁にぶつかって、フラフラよろけた所を 誰かに支えられた。 頭がガンガンして、 何を言われてるのかも理解出来ない僕──を 誰だか分からないその人が、 どこかへ連れて行こうとする。 抵抗する気力もなくて、ただ、その人の 為すがまま歩かされて どこかへ。 ガラガラと扉が開く音がして 何か話す声がした後・・・ 気がついたらベッドに横になっていた。 ──あれ? どこだろ・・・ここ。 横になってたからか、 少し気分が落ち着いてきて ゆっくり辺りを見回す・・・と、 『あ、目、覚めた?』 白衣を着た 優しそうな人が僕を覗きこんできた。 『・・・・・・。あの、ここ・・・・・は?』 『ここ?保健室だよー。  君、熱あってね~?運ばれてきたんだよー。』 『ね・・・つ・・・・』 『うん。だからね?  今日は帰った方がいいと思うよ~?  でも、1人じゃ危ないなー。  誰か連れて帰ってくれそうな人、いる?』 『あ・・・・はい・・・』 晃くん・・・・ 晃くんしか・・・いない・・・ けど・・・ 来てくれるかな・・・。 こんな・・・僕のために。 お前なんか知らない! なんて・・・言われたら どうしよう。 『あの・・でも・・・き、来て・・・くれなぃ・・・かも・・・』 昨日の事と、熱のせいで 不安になっているのか悪い予想しか出来なくて 泣きそうになっていると、 白衣の人が僕の傍に座って優しく微笑んだ。 『・・・大丈夫だよ。大丈夫だから。  とりあえず、その人に電話してごらん?』 『でも・・・僕・・・いま、怒らせちゃってて・・・』 『大丈夫、大丈夫~。』 と、僕のカバンを枕元に置く。 なんで 大丈夫って 分かるのかな・・・? でも、その人の微笑んだ顔を見ていると だんだん「大丈夫」って思えてくる。 不思議な人・・・・。 その人に見守られながら・・・ 僕は震える手で、カバンからスマホを取り出した。

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