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誤解と誤算★28
* * * 遊・side * * *
『あ、晃くん・・・』
『ホントにバカ。』
ちょっと怒ったように言った晃くんの顔は・・・
言葉とは裏腹に 優しく微笑んでいて、
また泣きそうになる。
悲しいって訳じゃないのに。
『ごめん・・・なさい・・・・』
『またー!謝んなくていいの。』
「どれどれ、熱は~?」なんて言いながら
僕のおでこに、晃くんのおでこがコツンと
くっついてくる。
『ん。下がったね。』
『うん・・・』
『痛いとこ、ない?』
『うん・・・もう大丈夫。』
体は怠いけど、痛いとか苦しいとか
そういうのは もう すっかり無くなっている。
『でも、まだ起きちゃダメだからね?
今日は おとなしく寝てること!』
『うん・・・』
ホッとした顔で、晃くんが立ち上がろうとする。
それを反射的に、手を握って止めてしまった。
『ん?なに?どうしたの?』
『え?・・あ・・・・ごめ・・・』
つい反射的にしてしまった事なので、
自分でも よく分からなくて・・・
答えられずにいると
晃くんは立ち上がるのをやめて
また傍に座ってくれた。
それだけの事が、堪らなく嬉しくって
晃くんの手を両手で包んで、頬擦りする。
『あは。ネコみたい♡
あ、そうだ。喉、渇いてない?』
『・・・・うん。』
もしかして。
さっきのは・・・
飲み物を取りに行こうとしてくれてたのかな。
そう思うと・・・急に、喉が渇いてくる、
気がする。
でも、それより 何より・・・
晃くんに傍に居てほしい。
わがまま、かなぁ。
でも。
昨日は色々あって迷惑かけたのに
一晩中、傍で 看病してもらったのに
それでもまだ離れたくない・・・なんて。
あんまり わがまま言っちゃダメだよね・・・。
『晃くん・・・』
『んー?』
名残惜しいけど、晃くんの手を離す。
『ありがと・・・ごめんね。もう大丈夫だから
晃くんの用事・・・してきて?』
『・・・・・・バカ。でも、ちょっとだけ待ってて?』
『うん。待ってる・・・。』
またバカって言われちゃった・・・。
「バカ」って言われて
こんなに嬉しいの・・・
世界中 探しても 僕だけかもしれない。
なんて・・・・ね /////
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