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誤解と誤算★30

* * * 遊・side * * * 晃くんはキッチンの横のソファーに僕を座らせると 『ちょっと待ってて!すぐ戻るからっ!!』 そう言い残し、 バタバタと晃くんの部屋に飛び込んで 毛布と布団を手に戻ってきた。 『はい!これ被って!寒くない?大丈夫?』 『・・・うん。』 『お粥も すぐに出来るからね?  おとなしく座って待っててね?ね?・・・ね?』 『ふふ・・・っ・・・うん。』 モコモコになってソファーに座らされた僕に 何度も念を押してから、晃くんはコンロの前で お粥作りを再開する。 うん。 晃くんの後ろ姿が見えるだけで もう寂しくない。 僕は幸せな気持ちで晃くんを見つめた。 ☆ ☆ 『出来たっ!!』 目の前に、湯気がたつ美味しそうなお粥が置かれる。 急にお腹が空いたのを実感して くーっとお腹の虫が騒がしく鳴った。 『卵も入れてみたんだ~♪』 『美味しそう・・・』 『熱いから気をつけてね?』 『うん。ありがと・・・。』 スプーンを手に、ふうふう冷ましながら ひと口。 『わ!美味し・・・っ!』 ご飯の固さとか、塩加減とか、絶妙で すごくすごく美味しい。 『ホント!?よかった~。いっぱい あるからね!』 『うん。あ・・・。晃くんは?』 『うん。俺も食べるよ。』 ガサガサ音がして、晃くんを見ると、 晃くんは菓子パンを取り出し、 大きな口でガブリと噛みついた。 『・・あ・・晃くん・・・・』 『ん?あ、遊も食べる?』 ジーッと見ていたからか、僕も欲しいって 勘違いしたみたい。 『んーん・・・そうじゃなくて・・・ごめんね。  僕が元気になったら 美味しいもの作るから・・・』 『ん?うん、元気になったらね? だから、これ食べたら薬 飲んで寝るんだよ?』 『うん・・・』 そうだね。 早く元気にならなくちゃ。 晃くんのために。 そう思った僕は、お粥をたくさん食べて 素直に晃くんの言うことを聞いて ベッドに戻ることにした。

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