466 / 761
誤解と誤算★30
* * * 遊・side * * *
晃くんはキッチンの横のソファーに僕を座らせると
『ちょっと待ってて!すぐ戻るからっ!!』
そう言い残し、
バタバタと晃くんの部屋に飛び込んで
毛布と布団を手に戻ってきた。
『はい!これ被って!寒くない?大丈夫?』
『・・・うん。』
『お粥も すぐに出来るからね?
おとなしく座って待っててね?ね?・・・ね?』
『ふふ・・・っ・・・うん。』
モコモコになってソファーに座らされた僕に
何度も念を押してから、晃くんはコンロの前で
お粥作りを再開する。
うん。
晃くんの後ろ姿が見えるだけで
もう寂しくない。
僕は幸せな気持ちで晃くんを見つめた。
☆
☆
『出来たっ!!』
目の前に、湯気がたつ美味しそうなお粥が置かれる。
急にお腹が空いたのを実感して
くーっとお腹の虫が騒がしく鳴った。
『卵も入れてみたんだ~♪』
『美味しそう・・・』
『熱いから気をつけてね?』
『うん。ありがと・・・。』
スプーンを手に、ふうふう冷ましながら
ひと口。
『わ!美味し・・・っ!』
ご飯の固さとか、塩加減とか、絶妙で
すごくすごく美味しい。
『ホント!?よかった~。いっぱい あるからね!』
『うん。あ・・・。晃くんは?』
『うん。俺も食べるよ。』
ガサガサ音がして、晃くんを見ると、
晃くんは菓子パンを取り出し、
大きな口でガブリと噛みついた。
『・・あ・・晃くん・・・・』
『ん?あ、遊も食べる?』
ジーッと見ていたからか、僕も欲しいって
勘違いしたみたい。
『んーん・・・そうじゃなくて・・・ごめんね。
僕が元気になったら 美味しいもの作るから・・・』
『ん?うん、元気になったらね?
だから、これ食べたら薬 飲んで寝るんだよ?』
『うん・・・』
そうだね。
早く元気にならなくちゃ。
晃くんのために。
そう思った僕は、お粥をたくさん食べて
素直に晃くんの言うことを聞いて
ベッドに戻ることにした。
ともだちにシェアしよう!