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最強の来訪者☆10
* * * 英道・side * * *
ハルの姉ちゃん も静かな闘志を
剥き出しにしているのが ありありと感じられる。
手を出すケンカとは別物だけど・・・
久しぶりに興奮するぜっ!
ピリピリした空気の中、静かに睨み合う。
桜子は黒ブチ眼鏡をスッと人差し指で
直してから、大きく息を吐いた。
───戦闘開始。
心のなかで試合開始のゴングが鳴り響いた。
『──で?あなたは晴臣とどうなりたいのかしら。』
『どうなりたい、とは?』
『愛してる?一生、傍にいたい?離さない?
・・・そんなの 口 では何とでも言えるわよね?』
───ムカ。
いや、落ち着け、俺。
これは(おそらく)挑発だ。
『それは、本当の気持ちです。
それを証明するには・・・・・
これからの俺を見てもらうしかないです。』
『そうね。でも、それでは
絶対 別れないって保証にはならないでしょう?』
『・・・・・・・・・・』
───ムカ。
『・・・じゃあ、俺にどうしろと?
誓約書でも書けば
納得してもらえるんですかね?』
『人の気持ちは簡単に変わります。
紙1つで証明など出来ません。』
『・・・・・・・っ・・・』
───ムカッ!
『俺も簡単に好きになった訳じゃない。
大体、本気じゃなきゃ男同士で 一緒に住もうとか
考えたりしない。』
『だから、その気持ちが 今は本当だとしても
ずっと続くとは限らないでしょうって言ってるの。
・・・・私には長続きするとは とても思えない。
あなたの気まぐれで もし別れたら?
そうなったら傷つくのは晴臣よ?』
『・・・・・・・っっ・・・!』
あー!クソッ!
なんなんだっ!コイツ!!
すっげー、ムカつく!!
『・・・それは男と女でも同じじゃねーの?
結婚っつったって紙きれ1つじゃねーか。
大恋愛してたって別れるヤツは別れるし。
男同士だからって特別な訳じゃねーだろ。
そもそもなぁ!俺は半端な気持ちじゃねぇし!
ハルと別れる気なんて これっぽっちも ねぇ!』
もう落ち着いてなんていられなくて
バァンっとテーブルを叩いて立ち上がる。
『あら、嫌だ。乱暴ね。』
『・・・・・っ・・・!』
───しまった・・・!
相手の策略にまんまと嵌まってしまった・・・か?
でも、1度 口から出た言葉は取り消せない。
冷静になれなかった自分を後悔する。
くそ・・・・・どうしようか?
考えあぐね、長い沈黙が続く・・・・・
────と。
『ふふ。なるほどねぇ~』
突然、桜子の口調が変わった。
口調だけでなく、表情も 雰囲気も 全部。
何となく優等生のお嬢様?な風情は一変して
俺を小バカにした顔で見てくる。
『変われば変わるもんね、英道。』
『・・・・・・・・・・・・・・・は?』
英道?
いきなり呼び捨てかよ?
なんだ、コイツ?
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