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最強の来訪者☆32

* * * 英道・side * * * 『うわーんっ!お母さーんっ!』 母親を見た途端、駆け寄るハル。 『あらあら。泣かないの、ハル。』 『ふえぇ・・・・』 頭を撫でられ、抱きしめられて、 安心したように目を閉じるハルを見て、 きっと、小さい頃から 姉ちゃんたちに いじられて泣いて・・・ こんな風に母親に甘えていたんだろうな と推測できた。 母親には とても勝てないけど。 俺も、ハルを守りたい。 ハルが安心して日々を過ごせるように 甘えられる大きな存在に なりたい。 ハルとずっと一緒に歩いていきたい。 俺の想いを、伝えて 認めてもらいたい・・・・・・・・・ 『お父さん、お母さん。  俺はハル・・・・晴臣さんと  真剣に おつきあいさせて頂いてます。  これから、一生をかけて大事にします。  必ず、幸せにします。  だから、晴臣さんを俺に下さい。  お願いします・・・!』 俺は、ハルの両親の前に歩み寄り 頭を下げた。 するとハルの父親は慌てた様子で 俺の手を取り、意外な言葉をくれた。 『新見さん・・・!どうか頭を上げてください。  晴臣の事は、こちらから お願いしたくて  今日、こうして伺ったのですから。』 『・・・・・・・・・え?』 『晴臣が今、幸せなのは顔を見れば分かります。  晴臣が晴臣らしく生きて、幸せになってくれるのが  私たち親の幸せでもありますから・・・・・・  晴臣を どうぞ よろしくお願いします。』 『お父さん・・・・・・』 『私もです。晴臣を よろしくお願いいたします。』 『お母さん・・・・・・』 反対する事もなく、受け入れてくれた。 俺の想いを、受けとめてくれた。 『ありがとうございます・・・・』 もう1度、頭を下げて 未だに母親に抱きついたままのハルの名を呼ぶ。 『ハル』 ハルが俯いていた顔を上げると 半べそをかいていて また、ギュッと母親にしがみつく。 『あら。甘える相手が違うでしょ?』 お母さんが 微笑みなが諭すように言うと そっと体を離して ハルの背中を押した。 『・・・ひ・・英道ぃ・・・・・・!』 ハルが勢いよく 俺の腕の中に飛び込んでくる。 お互いの背中に手を回して、 少しの隙間もないくらい抱きしめあって 嬉しいのに・・・泣きたくなる。 ただただハルが愛しくて ハルの家族がいる事も、 時間が経つのも忘れて、 ハルの温もりを噛みしめた。

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