515 / 761

最強の来訪者☆34

* * * 英道・side * * * 玄関に行っても ハルは離れない。 けど。 ・・・もう、いいか。 それより、今は・・・! 『あの・・・!  ホントに もう少し ゆっくり お話しを・・・』 ───と、もう1度引き留めてみる。 でも ハルの両親の答えは同じで・・・ ・・・・・うん。 まあ、ハルがこの状態じゃなぁ しょーがねーかって気がするのも事実な訳で。 諦めて、ハルを抱っこして サンダルを引っ掻け 外に出ると 3姉はいつの間にやら外に出ていたのだが 最初に来た時の勢いはどこへ?ってくらい おとなしくなっていた。 ジーッと 3姉を見ていたら 『ああ。桜子たちには必要な最低限しか  ここに来ないように言い聞かせましたから。  安心してください。』 お父さんは穏やかに、そう告げれば 3姉は、あからさまに俺から目を反らした。 どうやら、 こっぴどく怒られたんだな。 (俺が気がつかない間に) それにしても ハルの父ちゃん・・・ 見た目はすごく優しそうなのに あの桜子と 似たり寄ったりの姉2人を あんな おとなしくさせるとは・・・ すげぇなぁ。 俺も気を抜かないようにしないとな。 「見送りはここまででいい」と言う 両親の申し出に(ここは おとなしく)従って 玄関のドアの前で見送った。 その頃には やっと・・・ 俺に抱きついたままではあったけど、 ハルは家族の方に顔を向けて手を振った。 姿が見えなくなると改めて俺の胸に顔を埋めて 強く抱きついてくる。 あー、なにコイツ。 可愛いなぁ、マジで。 このまま、こうしていたいところだけど 誰かに見られたら、さすがに恥ずかしい。 俺はハルを片手で抱え直して 部屋の中へと戻り リビングのソファーに座って ハルを思いっきり抱きしめた。 『姉ちゃんは ともかく・・・いい ご両親だな。』 思ったままに そう呟くと、 ハルは 小さな声で「・・・うん」と答えて ギュウッとしがみついてくる。 ああ。 落ち着く。 ホッとしたら、一気に 力が抜ける。 今から車を運転する気になんねーな。 昨日のハルじゃねーけど・・・ 今日は・・・(いや、今日も、か) ずっと家に居て、 こうして抱きあってたい気分だ。

ともだちにシェアしよう!