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イケメン王子の誘惑☆38
*** 晃・side***
大学の最寄り駅に着いて、すぐ王司さんは
トイレに走っていった。
車内に残るのは、疲れたのか ぼんやりしてる遊と
・・・・・大地さん。
うーん、どうしようか。
確信はあるけど、聞いてみたい。
・・・ま、いっか。
聞いちゃお♪
運転席へと身を乗り出して、
王司さんの気持ちを知っているのか
聞いてみる。
『あ、晃くん・・・・っ』
遊が焦った声を出すけれど
聞きたい事を聞かずにいるのは
どうにも気持ちが悪くて。
怒られても、答えてくれなくても
聞くだけ聞きたい。
それで、怒られたら仕方ないし
答えてくれたらラッキーじゃん?
すると、遊の心配をよそに
大地さんは 頷いてくれた。
やっぱり。
次に、どうするのかって聞くと
大地さんは、
悪~い顔でニヤリと笑って言う。
「しばらくはこのまま放置」って。
自分のために必死な王司さんが面白いんだって。
・・・・悪趣味な。
俺だったら、すぐ「俺も好きーっ!」って
言っちゃうのに。
両想いなのに放置とか・・・勿体ない。
『趣味 悪い・・・。』
思わずといった感じで 遊が呟く。
すると、大地さんは
ばつが悪そうに振り返る。
遊みたいな純粋なタイプの人に
こう言われると、堪えるんだよな(笑)
言い訳らしき事を並べる・・・けれども、
やっぱり必死な王司さんが面白いらしい。
でも、まぁ・・・もう気持ちは決まってて
「そのうち」返事をするつもりなんだって
言うから少し安心した。
「アイツと付き合えるの俺ぐらいだから」
なんてさ、名言 聞けたし。
王司さんが戻ってきたタイミングで
車を降りて、2人とサヨナラをして
別れた。
また、会う約束もして。
あぁ、疲れた・・・。
でも、・・・楽しかったなー。
『さ!俺たちも帰るか~!』
『うん。』
いつもの電車に乗ると、どんどん現実に
戻っていく感じ。
早く家に帰って遊と
のんびり、まったりしたい。
結局、強請ってみたけど刺身は(高くて)
買えなかった。
なんてったって
うちの奥さん、節約上手だから(笑)
いつものように遊と過ごす夜。
いつもの日常に戻っても
いつものように 幸せで。
ああ、
俺って 幸福者♪
うーん。
この幸せを後回しにするなんて・・・
やっぱ、勿体ない!!
勿体ないよー、大地さん!!
いつか、言ってやろ。
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