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クリスマス
* * * 中野 透 の場合 * * *
『クリスマスなんてクソくらえだー!』
───くそぉ。
どこ見てもカップルばっか。
どいつもこいつもイチャイチャしやがって・・・。
ふん、だ。
どーせ俺は独りだよ。
彼女いねーよ。
いつもは、俺につきあってくれる篠宮先輩も
さすがに今日は彼女さんと過ごすだろうし、
・・・・晃と遊は論外だし。
他のダチも、彼女いない組はバイトいれてて
分かち合える仲間がいない・・・・。
『あーあ。俺も見栄張らないで
バイトいれときゃよかったな~。』
家にいてもつまらないから・・・と、
寒い中、外に出てきたのに・・・・。
1つも楽しくない。
もう いいや。
コンビニ行って、なんか買って 帰ろう。
ちょうど目の前にあったコンビニに入る。
『いらっしゃいませ~。・・・あっ。』
『あ・・・?・・・あ。』
レジにいたのは、一目惚れして告白して
見事にフラれた相手・・・・
見た目は女の子、中身は男の子!
───の、コンビニ店員だった。
あちゃー!
例のあのコンビニに来てしまったのか、俺は。
『・・・・どうも。』
『お、お久しぶりです。』
『はあ。』
『あれから全然 来なくなっちゃったから
心配してたんですよー?』
『はぁ?・・・・・。』
───来れるかよ!
お前に フラれたんだぞ? 俺は。
実は男でした!なんてオプションつきで。
ああ、くそ・・っ・・。
面白くない!
つーか、ムカつく!!
とりあえず、酒のつまみを適当に かごに放り込んで
アイツじゃない方のレジに並んだ。
・・・でも。
『お次にお待ちのお客さま、どうぞ~。』
『・・・・・・・・クソ・・・。』
ツいてない時は、とことんツいてない。
呼ばれたから、仕方なくアイツのレジへ
かごを持って行く。
会計を済ませて、さっさと帰ろうとすると、
『あ、あの!』
と、呼び止められた。
『なんスか?』
『あ、えと ちょっと・・・待っててもらえませんか?』
『はぁ? なんで。』
『あの、ちょっとだけなんで・・・・・お願いします。』
『・・・・・はあ。ま、いいけど。』
『ありがとうございます!すぐ行きます!』
───なんなんだ。
コンビニの前で言われた通り待つ俺。
待ってる事を了承してしまった手前、
帰るに帰れない。
いや・・・別に帰ってもいいのか。
つーか今さら何の用があるっつーんだ??
ワケ 分かんねぇ。
(と言いつつ待つ。)
『すみません!!』
あれこれ考えていると5分も経たない内に
アイツが出てきた。
『あれ・・・・・?』
前に見た時の・・・
でき損ないのアイドルみたいな格好とは違う。
普通の服装、つーか
どっちかつーと、地味な感じ・・・?
『お、お待たせしました。』
『いえ・・・・///』
くそぉー!やっぱ、可愛い!
もろタイプなんだよなぁ・・・・!
平静を装いながら
なんの用かと相手の出方を待っていると、
『あの・・・この後って予定あります?』
───何故か もじもじしながら聞いてきた。
『ないけど・・・てかバイトは?』
『終わりました。』
『へー、そう。』
だから・・・・?
なんだよ?
俺の予定なんか聞いて どうすんだ?
『あのっ!デ、デートしませんか////? 』
『はあ?デートぉ?
・・・・なっ!?なんで俺があんたと・・・!』
『お願いします・・!
えと、その・・・・話したい事もあるんですっ!』
・・・・くっ////
上目遣いやめろっ////!!
うっかりトキめいちゃうだろーがっ!!
でも・・・・デート・・・・
デートかぁ・・・・
どうせ帰ってもヒマだし。
『・・・・ま、まぁ、いいけど。』
『───っ、ありがとう!』
にっこり嬉しそうに笑顔を向けられると
不覚にもドキドキしてしまう。
───お、落ち着け、俺!
コイツは男。
男だから!!
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