571 / 761
クリスマス
* * * 英道&晴臣の場合② * * *
今度こそ2人でソファーで寛いでいると
ハルが急に立ち上がって小さな箱を持ってきた。
『あ、そうだ!英道、これ!』
『ん?なんだ?』
『プレゼント////!』
『おー。サンキュ。』
去年はまだ付き合ってる、とは言えなかった俺たち。
実は誕生日も含め、
ちゃんとしたプレゼントは初めてだったりする。
ラッピングされた袋を 開けると、
入っていたのは、皮の財布だった。
『英道の・・かなり使い込んでるからさ、
ずっと気になってて・・・。
それ、中に免許証 入れられるんだ。』
『ん?』
そう言われて財布を開いて見れば、確かに
カード入れの1番手前が免許証入れになっていた。
『英道、最近 車 乗り始めたから・・・、
そういうのが便利かな・・・とか思ってさ。』
『・・・ありがとう。すっげー嬉しい。』
俺のことを考えて選んでくれた事が、
素直に嬉しくて、ハルの頭を撫でると、
ハルも上気した顔でニコニコ笑う。
───可愛いな、こんちくしょう。
今すぐ押し倒してやろうか。
あ。・・・・・いや、その前に。
『俺からも プレゼント。』
『わーいっっ!!ありがとー!わ、腕時計だっ!』
『俺のがいいって言ってたからな。』
『やったー!おそろだーっ!』
お揃いの腕時計に喜ぶハル。
でも、プレゼントはそれだけじゃなくて。
───ヤバい。
なんかドキドキするな。
『まだなんか・・・・・ん?・・・・えっ!?』
メッセージカードの中身を見て、
びっくりしたようにハルが固まった。
じっと しばらく、それを見つめてから、
泣き笑いの顔で、胸に飛び込んできた。
『ハル?』
『ありがと・・・嬉しい。』
『ロマンチックだろ?』
『うん。・・・びっくりした。』
見上げたハルの目には、うっすら涙が
溜まっている。
───よかった。
喜んでくれたみたいだ。
ベタ過ぎるけど、中身は「婚姻届」。
ホントの結婚は出来ないけど
そういう気持ちで一緒にいるんだって事を
知ってほしかったから。
ハルとなら、いつまでも変わらず、
共に歩いていける、って。
『ずっと一緒にいような。』
『うん。当たり前じゃん。』
───当たり前、か。
ハルも同じように思っててくれたら、
それで いい。
『ありがと、英道////』
『・・・・ああ。』
よし!
この流れで、ベッドに・・・
なんて思っていたら
ハルはパッと俺から離れ、
リビングのテーブルに走って行ってしまった。
『よし!名前 書こ、英道!』
興奮ぎみに、俺に手招きをする。
『早く!早く書こう!』
『はいはい。』
『あ!印鑑 出さなきゃ!』
バタバタと忙しなく動き回るハルに
思わず笑ってしまう。
と、同時に、幸せな気持ちが溢れてくる。
───ま、いいか。
夜は長いし・・・な♪
ともだちにシェアしよう!