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クリスマス

* * * 英道&晴臣の場合② * * * 今度こそ2人でソファーで寛いでいると ハルが急に立ち上がって小さな箱を持ってきた。 『あ、そうだ!英道、これ!』 『ん?なんだ?』 『プレゼント////!』 『おー。サンキュ。』 去年はまだ付き合ってる、とは言えなかった俺たち。 実は誕生日も含め、 ちゃんとしたプレゼントは初めてだったりする。 ラッピングされた袋を 開けると、 入っていたのは、皮の財布だった。 『英道の・・かなり使い込んでるからさ、  ずっと気になってて・・・。  それ、中に免許証 入れられるんだ。』 『ん?』 そう言われて財布を開いて見れば、確かに カード入れの1番手前が免許証入れになっていた。 『英道、最近 車 乗り始めたから・・・、  そういうのが便利かな・・・とか思ってさ。』 『・・・ありがとう。すっげー嬉しい。』 俺のことを考えて選んでくれた事が、 素直に嬉しくて、ハルの頭を撫でると、 ハルも上気した顔でニコニコ笑う。 ───可愛いな、こんちくしょう。 今すぐ押し倒してやろうか。 あ。・・・・・いや、その前に。 『俺からも プレゼント。』 『わーいっっ!!ありがとー!わ、腕時計だっ!』 『俺のがいいって言ってたからな。』 『やったー!おそろだーっ!』 お揃いの腕時計に喜ぶハル。 でも、プレゼントはそれだけじゃなくて。 ───ヤバい。 なんかドキドキするな。 『まだなんか・・・・・ん?・・・・えっ!?』 メッセージカードの中身を見て、 びっくりしたようにハルが固まった。 じっと しばらく、それを見つめてから、 泣き笑いの顔で、胸に飛び込んできた。 『ハル?』 『ありがと・・・嬉しい。』 『ロマンチックだろ?』 『うん。・・・びっくりした。』 見上げたハルの目には、うっすら涙が 溜まっている。 ───よかった。 喜んでくれたみたいだ。 ベタ過ぎるけど、中身は「婚姻届」。 ホントの結婚は出来ないけど そういう気持ちで一緒にいるんだって事を 知ってほしかったから。 ハルとなら、いつまでも変わらず、 共に歩いていける、って。 『ずっと一緒にいような。』 『うん。当たり前じゃん。』 ───当たり前、か。 ハルも同じように思っててくれたら、 それで いい。 『ありがと、英道////』 『・・・・ああ。』 よし! この流れで、ベッドに・・・ なんて思っていたら ハルはパッと俺から離れ、 リビングのテーブルに走って行ってしまった。 『よし!名前 書こ、英道!』 興奮ぎみに、俺に手招きをする。 『早く!早く書こう!』 『はいはい。』 『あ!印鑑 出さなきゃ!』 バタバタと忙しなく動き回るハルに 思わず笑ってしまう。 と、同時に、幸せな気持ちが溢れてくる。 ───ま、いいか。 夜は長いし・・・な♪

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