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恋のはじまり??☆5
** 中野・side **
『ああいう事、よく あんの?』
とりあえず、伊吹の家に移動して
落ち着いたところで まず聞いたのが これ。
『ああいう事?』
『あの・・・酔っぱらいに絡まれたり、とか』
『ああ。・・・うーん、たまにね。』
『たまに?やっぱ、あんの?』
『うん。帰るからって、見送りに出た後に
やっぱり まだ飲み足りない~、とか
帰りたくない~って 駄々こねる人は
結構いるかな。』
『・・・危なくないの?』
『まぁ・・・たまに強引な人もいるけど
うまく逃げてるから大丈夫。』
『・・・・・・・・・ふーん。』
・・・なんか・・・なんでか、面白くない。
伊吹が あんな事されてるのを
目の当たりにしたからなのか・・・
なんか、ムカつく。
ムスッとした俺の変化を感じたのか、
伊吹は 明るく続ける。
『たまーに そんな事もあるけど時給いいからさ。
仕方ないかなー、って思うようにしてる。』
『・・・・辞められない・・・?』
『・・・・・・・・・え?』
ポロリと出た言葉に、伊吹は
困ったように笑った。
『それは・・・・学費・・・払えなくなっちゃうから。』
『そっか・・・・・』
『心配してくれて ありがと。でも、大丈夫だよ。』
『・・・・・うん。』
納得は・・・出来てない。
けど、俺も学生で・・・親の仕送りと
バイトで いっぱいいっぱいな生活を
している訳で。
何もしてやれない俺が、
安易に、「辞めろ」なんて
言ってはいけなかった。
何も言えなくなった俺に
いつも以上に明るく振る舞う伊吹。
でも、俺は・・・・
話をしていても、TVを観ていても
ゲームをしていても
ふとした拍子に 考えてしまう。
結局、久しぶりにゆっくり会えたのに
ろくに会話も出来なくて
いつもみたいに2人の時間を楽しめなかった。
伊吹に 気をつかわれているのも
なんだかイライラした。
モヤモヤする
落ち着かない
この気持ちは・・・・・・・・・なんなんだろう。
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