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恋のはじまり??☆10

** 中野・side ** 違ったら、恥ずかしいけど。 勘違いだったら、超・イタいヤツだけど。 『あの・・・あのさ。あの店、辞めるのって  もしかして俺の・・・ため・・・とか・・?』 思いきって聞いてみたりして。 すると、伊吹の顔が ボボボっと 赤くなってその顔を隠すように 下を向いてしまった。 おっと・・・ これは、当たり・・・かな? うん。当たり、だな。 素直に嬉しい、と思った。 『あの・・・・・あの barで働くのも心配だけど・・・』 『うん・・・・・』 『あの・・・その・・俺としては・・・  あんまり無理してほしくないっつーか』 『う、うん・・・・////』 『これ以上、バイト増やして働きすぎるのも  心配っつーか・・・』 『うん・・・・・////』 『今より会えなくなるのもイヤだし・・・』 『うん・・・・/////』 だから・・・どうしよう。 分からん・・ どうすりゃ いいんだ。 『だから・・・』 『うん・・・・』 『どうしよう?』 『うん・・・・・・え?』 伊吹がキョトンと俺を見る。 『ごめん・・・答えが出せなくて・・・』 『あ・・・ううん。』 ────沈黙。 うわぁ・・・・・・気まず。 ど、どうしよう・・・ どうすれば・・・っ! ───あ、そうだ! 『俺も、あのbarでバイトする・・・とか!』 『・・・・・・・・・え?』 いや、いやいやいや。 無理無理無理! 俺の女装なんてもんは見られたもんじゃない。 でもな・・・・・・・・・ だからって、足りない分を 俺がバイトして稼いだ金で補ってくれ、なんつっても 受け取ってくれる訳ないだろうし。 『あ。一緒に住む・・・・・とか?』 『・・・・・・・・・・・・・・え?』 ───ああ! いい!いいじゃんっ!! ナイスアイデアじゃん、俺っ!! 『──ね?そしたら 少しは楽にならない?』 『・・・・・・・・・・・・・・・・・。』 すると、伊吹はなにも言わず俯いてしまう。 その肩が小刻みに震えていて・・・・・・・・・ また照れてるのかな? と、呑気に思っていたら・・・ 伊吹が顔を上げ、真っ直ぐ俺を見た。 『分かってる?』 『・・・・・・・・・え・・・・』 その表情は・・・見たことないくらい 冷たくて・・・・・・ 『自分が言ってる意味、分かってんの?』 声も、聞いたことないくらい 低い。 『・・・・・え?意味?』 『・・・・やっぱり・・・・分かってないよね。  あのね、中野くんは優しいから  私の事を思って言ってくれてるんだろうけど・・・  それがツラいって事もあるんだよ。』 『・・・・・・・・・え?』 『────あー、もう・・・・・』 大きく息を吐いた伊吹は パッと立ち上がった。 え・・・・ な、なんか怒ってる? 俺、伊吹を怒らせた・・・? ど、どうしよう・・・・! 慌てて、俺も立ち上がると 伝票を掴んだ伊吹が振り返り、一言。 『ここじゃ話しづらいから うちに来て。』 そして、さっさとレジへと歩いて行く。 伊吹の静かな怒りをビシバシ感じた俺は・・・・・ 黙って着いていくしかなかった。

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