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恋のはじまり??☆11

** 中野・side ** 伊吹のアパートに着いて、 「ちょっと待ってて」と言われて リビング兼、寝室の畳に座って おとなしく待つ俺。 自分が軽はずみに言ってしまった言葉を ただただ反省するしかなくて。 やっぱ、無神経だったな・・・俺。 どうしよう。 本気で、心から 謝ったら 許してくれるだろうか。 「うー」と唸りながら 頭をかきむしっていたら、背後で 風呂の戸が開いた音がした。 足音が横を通りすぎ、俺の前で止まる。 そのまま何も言わない伊吹。 しばらくの静寂のあと、堪えきれず 恐る恐る 顔を上げると・・・ 上半身 裸で、スッピンの伊吹が立っていた。 仁王立ちして 俺を冷たく見下ろす伊吹の姿は、 紛れもなく「男」で。 『見た目は女に見えるかもしれないけど  俺、男だからね。そこ、分かってる?』 『・・・・・・・。』 「俺」・・・・。 普段は自分の事、俺って言うんだ・・・。 初めて見る「男」の伊吹に、俺は というと 場違いにもドキドキしていた。 なんか・・・すっげー カッコいいんだけど。 化粧してないのに 端整で綺麗な顔立ち。 男なのに、美人!! 『中野くんは、男とは付き合えないんだよね?  無理なんだよね?  はっきり俺にそう言ったよね?  俺、中野くんが好きで、しかも男なんだけど?  それで一緒に住むとか、よく そういう事、  軽々しく言えるよね。』 『・・・・・・そ、それは・・・ごめん。  軽率だったな、って反省してます・・・。』 『・・・反省、ね。猿でも出来るよね。』 『う・・・・は、はい。』 ポタポタと水滴が、畳の上に落ちる。 それに気づいた伊吹は、肩にかけたタオルで ガシガシ頭を拭く。 うーん。 男らしい。

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