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恋のはじまり??☆12
** 中野・side **
『俺ね、根っからのゲイだから。
女装してるからって「女」になりたい、
なんて思ったことは 1度もないけど
好きな人に女扱いされて、優しくされて
そのうえ 「一緒に住もう」、だなんて。
そんな事言われたら・・・・違うって分かってるけど
でも期待しちゃうんだよ。
それが俺にはツラいんだって・・・・分かる?』
『はい・・・ごめんなさい・・・』
ひたすら謝る俺を、ジーっと見ていた伊吹は、
「はあぁぁーっ」と、大きなため息を吐いて
部屋の隅に たたんである布団の上に
どっかり座った。
『あーあ・・・なんかもう・・・最悪。』
『・・・え?・・・あ、ごめん・・・!』
『ああ、いや・・・。
幻滅したでしょ?素が、こんなんで。
・・・中野くんの前では 可愛い女の子で
居たかったんだけどなぁ。バカだな、俺。』
『・・・・・・・・・・・え?』
どういう事?
『・・・・・・もう俺の事、男にしか見えないでしょ。
次に会った時は、女装した俺なんて
気持ち悪いだけでしょ?』
『・・・・・え?・・・いや・・・そんな事・・・・』
『中野くんは・・・ノーマルだからさ。
俺の事、好きにならないって・・・・・・・・・
そんなの・・・・・・分かってる。
でも、女装して会ってたら
女の子として見てもらえるし
俺も 「つきあってる」みたいな錯覚 出来るし・・・
それが細やかな楽しみだった・・・けど』
『・・・・・・けど・・・・?』
『うん。ここら辺が潮時なのかも。
これ以上 中野くんの傍にいたら・・・俺・・・
きっと、それ以上を望んでしまう・・・』
『・・・・・・・え?それ以上・・・?』
伊吹は、チラリと俺を見ると・・・
諦めたような顔で笑って、ため息を吐くと
ふいっと窓の外を見て・・・ポツリと呟いた。
『やっぱり・・・友達なんて最初っから
無理だったのかな・・・・』
『え・・・?』
『はは。そりゃ、無理だよねー。
でも・・・あの時は友達でもいいから
少しでも繋がってたい、
って思っちゃったんだよねー。』
『い、伊吹・・・??』
『やっぱり、あの時にフラれた方が
よかったんだよなー。』
『え?え?なに言ってんの??』
もう伊吹は俺の存在なんて 無視して
独り言のようにブツブツ呟くだけで、
答えてはくれなくて。
勝手に結論を出そうとしている伊吹に
俺は、焦り始める。
ちょ・・・ちょっと待って・・・?
なに、この急展開は!!
なんか・・・なんか、
嫌な予感しかしないんだけど!!
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