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恋のはじまり??☆22
** 中野・side **
でも。
それでも。
会いたい。
伊吹に会いたい。
誰に何を言われても・・・
この気持ちは変わらない。
『あの・・・会いたいんです。
会って話がしたいんです。』
『会って どうすんの。いまさら。』
男の対応はあくまで冷たい。
『だから俺は・・・ただ・・・謝りたくて・・・』
『・・・謝る?何を?何のために?
それって伊吹のためなのか?
お前のただの自己満足なんじゃねーの?』
『・・・え?』
『謝ったらスッキリするのはお前だけだろ。
じゃあ、伊吹の気持ちは?
お前に謝られたって、また伊吹がツラく
なるだけだろ。
そんな簡単な事ぐらい、分かれよ。
もう遅いんだよ。
もう終わってんだよ。
お前が伊吹のために出来る事なんか、
1つもない。』
『・・・・・・・・・』
男の言葉が、俺の胸に突き刺さる。
『帰れ。2度と来んな。』
『・・・・・・・・っ!』
ずっと掴まれていた胸ぐらから手を離し、
そのまま男は俺を力いっぱい押した。
よろけて後ずさった俺の目の前で
玄関のドアが閉まっていく。
『・・・あっ・・・まっ・・待って・・・!』
『うるさい。帰れ。』
男の冷たい声。
ドアが閉まる・・・・直前、
『いいよ。話すよ、俺。』
中から伊吹の声がした。
ドアが、また開く。
男の後ろに立つ伊吹の姿が見えた。
『伊吹・・・?!こんなヤツ ほっとけよ。』
『・・・ううん。俺も話したいから。』
『・・・っ・・・、大丈夫・・・か?』
『うん、ありがと。えーと、
中野くんと2人にしてもらっていいかな?』
『えぇっ!?なに言ってんだ!ダメだ、そんなの!』
『大丈夫。大丈夫だから。』
『でも、伊吹・・・っ・・!』
『いいから!出てて。』
伊吹に強く言われた男は・・・
しぶしぶ奥へと入っていき、すぐに荷物を持って
出てきた。
『何かあったら呼べよ?』
『うん。』
男は、クツを履くと、
俺を 殺しそうなギラついた目で
たっぷり10秒は睨んでから 荒々しく 出ていった。
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