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恋のはじまり??☆35

** 中野・side ** 信じられない失礼な俺に 弟は学生証を見せてくれた。 ・・ホントに高校生だった。 申し訳なくて 謝ると 本人も老けて見られるのは、慣れっこらしく 気にしてないと笑ってくれた。 名前は、桜木 青葉(あおば)。 高校生3年生、ラグビー部。 趣味は筋トレ。 なるほど。 それで ごっついのか・・・と、 漸く納得。 改めて 「よろしく」と挨拶を交わしたところで 伊吹を1人にしとくのは心配だからと 2人で部屋に戻った。 そして、会わなかった数日の間の伊吹の様子を 青葉くんが事細かに話してくれた。 * * * ~ 回想 ~ * * * 春休みになり、普段なかなか会えない兄、 伊吹の元に遊びに来たのが 俺と別れ話をした翌日の事。 勝手知ったる・・・・と、合鍵で部屋に入ると バイトでいないハズの伊吹がいて・・・ しかも、かなり酔っぱらっていた。 『な・・・っ!?』 『あー、青葉ぁ!青葉だぁ♪』 ケラケラ笑って抱きついてくる伊吹。 酒には強い兄が こんなに酔うほど飲むなんて しかも、バイトにも行かず、昼間から・・・・・ 『あはは~♪青葉も飲も~♡』 ・・・・・・・・・なんだ、これ・・・ 何があったんだ・・・・・っっ! 初めて見る伊吹の姿に唖然呆然。 いい加減 酔ってるくせに まだ飲もうとする伊吹から 酒を取り上げ、何があったのか聞いた。 酔ってるせいで、話は あっちこっちに迷走して ものすごーく分かりづらかったけれど、 根気よく聞いていると “ 中野くんにフラれた” のが原因だと分かった。 『ま、まあ・・そんなヤツ、早く忘れろ・・・な?』 『ん・・・・・そうす・・る・・・・・うっ・・・うっ・・・ぅうっ・・・』 『え・・・・・。い、伊吹・・・・??』 『うっ・・・・・・う・・・うわああああんっ!』 ──と、伊吹が突然、声をあげて 泣きだした。 フラれたのは自分のせい、 自分が悪い、と自分を責めまくり、 わんわん子供のように声を上げて 大号泣。 ・・・・そして今度は突然、 プツンと糸が切れたように、ぶっ倒れた。 『え!い、伊吹っ!?』 慌てて傍に駆け寄ると、 『あ。ね、寝た・・・んだ・・・・』 とりあえず泣き止んでくれた事にホッとしつつ 涙に濡れた顔を拭いてやろうと、 濡れタオルを片手に 前髪を上げるため額に触った時、 そこが異常に熱いのに気がついた。 『・・・・・・っ、熱 出てんじゃん!』 寝ていても、時々「中野くん」「ごめんね」と ぽろぽろと涙を流す伊吹。 そんな姿に。急激に怒りが込み上げてきた。 なーかーのーっっ! よーくーもーっっ! いつも、強くて優しい伊吹。 今は女装なんかしてるけど、 ホントは すごくカッコよくて男らしい兄貴。 そんな兄貴を・・・・ 俺の大切な兄貴を・・・・・ こんな・・・ボロボロにしやがって・・・・・!! 兄をふったのは、「中野」。 = 悪いのは、「中野」。 「中野」は絶対 許さねー!! つまり、青葉の あの高圧的な態度は そういう理由(ワケ)だったのだ。

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