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恋のはじまり??☆36
** 中野・side **
『あの・・伊吹の事・・・本気なんだよね?』
青葉くんが心配そうに聞いてくる。
『うん。時間かかったけど・・・俺、
自分の気持ちが やっと分かったから。』
『そうか・・・よかった・・・・。
よかったなー、伊吹。』
そう言って、
伊吹の寝顔を愛しそうに見つめる。
仲、いいんだなぁ。
『そういや、"伊吹"って呼ぶんだね。』
『あー、はい。
俺が、この顔で " 兄貴 " って呼ぶと
すごい違和感があるって周りに言われたのが
きっかけで。』
───と、苦笑いする青葉くん。
『あ・・・・・あぁ・・へぇー・・そう・・・なんだ・・・』
またもや、
触れてはいけないところに触れてしまったぁぁ(汗)
・・・と内心 焦っていると青葉くんが笑い出した。
『なんか・・・すっげーヤなヤツって思ってたから
よかった。
・・・って、伊吹が好きになった人だもんなー、
悪い人じゃないよな。』
『そう言って頂けると・・・・はは。』
穏やかな空気に包まれて、やっと一安心。
しばらく2人で気持ち良さそうに眠る伊吹の顔を
眺めてから、俺は洗濯物を干し、青葉くんは食事を作るため、それぞれ動きだした。
☆
☆
☆
『じゃあ、俺は帰ります。』
大きな荷物をまとめて
玄関に向かおうとする青葉くん。
『え?伊吹が起きるまで 居たら?』
慌てて止める俺。
すると、青葉くんは今日最上級の笑顔を浮かべて
「俺が居たら、おジャマでしょ?」
なんて言ってきた。
・・・・そのとおり。
あ、いや いや いや。
何も言えずにいると
『伊吹・・・兄の事 よろしくお願いします!』
俺の心をよんだのかスポーツマンらしく
キッチリ、深々と頭を下げ
大きな荷物をモノともせず肩に担ぐと
あっさり帰ってしまった。
しばらく 茫然と玄関を見つめていた俺だったけど
畳に置いてた手に 温かい何かが触れて
ハッと我にかえった。
『中野・・くん・・』
いつの間に起きたのか伊吹が
目を開けて俺を見ていた。
なぜか、とても不安そうな顔で。
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