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恋のおわり?★5

** 伊吹・side ** 『・・・・っ、・・・あ・・・・・・っ・・・・・・』 そうだ・・・・。 思い出した・・・ 俺・・・・・俺・・・・・・中野くんと・・・ 中野くんと・・・・・・・ 思い出した途端 キュウっと胸が苦しくなった。 痛い。 ・・・痛い。 昨日は 泣きたくても泣けなかったのに・・・ 鼻の奥がツーンとなって 目頭も熱くなってきて・・・ 急いで洗面所に走って冷たい水で顔を洗った。 もしかしたら・・・ 昨日 泣けていたなら・・・ 少しはスッキリしたのかもしれない。 けれど、悲しみを、涙を溜め込んだ今は・・・ 泣いてしまうと 果てしなく どこまでも 自分が落ちていきそうで・・・怖い。 どうしよう・・・・ 怖い・・・・・・! どうにかしたくて、また走って部屋に戻り、 新しい日本酒の瓶に手を伸ばした。 コップに注いで飲み干す──と、ほんの少しだけ 頭の、胸の、心の痛みが薄らいだ気がして 続けざまに もう1杯。 酒に逃げるのはダメなんだって分かってても 止められなくて、何度も酒を呷った。 あー、なんだこれ・・・ 昨日は 酔えなかったのに 頭 ふわふわ・・・・・・・・・気持ちいい。 酔いがまわってくると 悲しくて、ツラくて、苦しかった思いは 怒りへと方向を変えていく。 『中野のバカ野郎ぉ!  何が一緒に住もうだぁ!  俺の事、女扱いしやがってぇぇぇ!』 窓を開けて、思いのまま大声で叫ぶと ちょっとだけ スッキリした。 すると、どこかの窓が ガラッと勢いよく開いた音がして 「うるせぇ!」と、いつもの住人の怒鳴り声が響いた。 『お前の方が うるせぇんだよっ!バーカッ!』 負けじと、言い返す。 窓から顔を出した男と目があった。 言い返して来るかと思って待ったけど、 男は何も言わず、 静かに部屋へと引っ込んでしまった。 『はっ、なーんだ・・・・つまんねーの。』 いつも 絡んでくるクセに逃げやがったか。 もしかして・・・ホントは弱いのか? なんて考えると、おかしくて・・・ 俺は、声を出して笑い出していた。

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