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恋の…おわり??☆11
** 伊吹・side **
『久しぶり。』
内心のドキドキや不安を出さないように
努めて、冷静に声をかける。
『どうぞ?入って。』
中に入ってもらって、奥の部屋に足を踏み入れた途端、思い出した。
この部屋が ものすごく汚れている事を。
ああ・・・・しまった。
でも、今から外に・・・って気にもならない。
体も怠いし。
『ごめんね、散らかってるけど。』
促して、畳の上に座ってもらう。
中野くんも この惨状に驚いてるみたいで
キョロキョロと部屋の中を見回している。
俺は 布団を半分にたたんで、そこに座った。
『で、話したい事って?』
と、聞くと・・・
中野くんは悪い事したから謝りたい・・・と
両手をついて頭を下げてきた。
『俺、ちゃんと謝ってなかったから
どうしても謝りたくて。
伊吹の事、傷つけて ごめん。
本当に、ごめんなさい。』
───と。
・・・中野くんは悪くない。
悪いのは・・・俺。全部、俺が悪い。
確かに、中野くんの一言がきっかけにはなったけど
・・・それだって俺を想ってしてくれた事。
勝手に怒って 友達やめるなんて言い出した俺に
中野くんが謝る事なんてない。
そう思うのに、中野くんは折れない。
何度も何度も互いに
“ 悪いのは自分だ ” って、
言い合う。
終わりのなさそうな言い合いに
とうとう疲れてしまった俺は・・・結局
どっちも悪いって事にした。
『話って、それだけ?』
もう、いいかな。
これ以上 話すのは、やっぱりツラい。
ちゃんと謝って スッキリしたところで
帰ってくれないかな。
そう思うのに。
『いや!まだ ある!あるから!』
必死な中野くん。
謝る事より、こっちの方が重要な感じが
ありありだ。
『今からの方が大事なんだ!お願いします!
聞いて下さいっっ!!』
やっぱり。
そんな風に言われると・・・
聞かない選択なんて出来ない。
すごく気になるし。
でも
何を言われるのか・・・・
ヤバい。
また具合が悪くなってきた
・・・・・・気がする。
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