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最高のプレゼント☆33

** 新見(高校生)・side **! ※暴力的なシーンがあります※ 『おい。薫ちゃん。俺と つきあってよ。』 『お前なら、イケるぜー、俺♪』 『そうそう♪』 放課後の教室に、下品な笑い声が響く。 なんだかなぁ・・・・。 ああいうの、ムカつくわ。 めんどくさい事に関わるのは 俺の性分じゃない。 でも、さすがにあれは・・・・・ ケンカなら、誰にも負けない自信はある。 あの3人なら楽勝だな。 いくか。 そう思って歩き出した時、薫が静かに立ち上がった。 怖さからか、下を向いたまま。 『お♪その気になった?』 『おいおい~!マジか!』 『どこでする?トイレか?外か?』 ギャハハハ!と笑う不良たち。 ああ!胸くそ(わり)い・・・・っ! 『おい!お前ら・・・・・』 『・・・・・るせーんだよ。てめえら。』 苛立ちを隠さないままに声をかけた。 ───が、ほぼ同時に ボソっと薫が呟いたのが聞こえた。 それは思ったより ずいぶんと低くて 顔に似合わない ドスのきいた声だった。 『あ?なに?なんだって?』 不良が 薫の肩を掴んだ。 と、薫が両手で、不良の胸を突く。 軽く押したように見えたが 不良は机をなぎ倒しながら、ぶっ飛んだ。 『てめ・・・・・うがっっ!』 殴りかかった もう1人を今度は 蹴り飛ばす。 床に崩れ落ちた ソイツの背中に容赦なく 蹴りを入れ、何度も踏みつける。 『・・・・・・っ・・・くそっ!やめろよっ!』 残った最後の1人が果敢にも薫に向かって行ったが・・ 『ふん。お前は俺を満足させてくれんのか?』 冷たい笑みを浮かべ、胸ぐらを掴んで 自分の方に引き寄せてから、股間を思いっきり握った。 『いっ・・・・・・いた・・・痛いっ・・・痛いぃ!』 痛みにもがく不良。 薫のあまりの変貌ぶりに、誰もが動けなくなって 目の前の 異様な光景を ただ見つめているだけだった。 『黙って聞いてりゃ さっきからギャーギャー  うるせーんだよ。  弱いくせに俺に構うんじゃねぇ。』 低い声。 見た目がキレイな事が、かえって恐ろしさに 拍車をかけている。 『・・・・・・・・ぐっ ・・・・うっ!うぅっ!』 『このまま握り潰してやろうか?あ?』 『・・・・・・・・ちっ。』 目がイッてやがる。 放っといたら本気で握り潰してしまいそうだ。 『おい、もういい。やめろ。』 薫の手を、不良の股間を握る手を掴む。 薫は「ああ?ジャマすんな」と俺を睨んできた。 けど、ここで怯んだら負けだ。 俺は真っ直ぐに薫の目を見る。 『それ以上やったら後が面倒だ。やめろ。』 『・・・・・・・・・』 ギラギラした目で俺を睨む薫。 しばらく睨み合った後、薫がフッと肩の力を抜いて 握っていた股間から手を離した。 そして、呻き、泣き崩れる不良に目もくれず カバンを掴み、何事もなかったように 教室から出ていってしまった。 教室には、不良の泣き声しか聞こえない。 誰も声も出せず、動く事も出来ない。 しばらくして不良の1人が、なんとか起き上がって 倒れている仲間を抱き抱え、フラフラと出ていく。 次の日、不良は3人とも休んだが 騒ぎにはなっていなかった。 ヤツらは誰にも言わなかったらしい。 いや、 言えなかった、が正しいのかもしれないが。 一部始終を見ていたクラスの連中も、 皆 口を閉ざしていたので 薫は なんの おとがめもなかった。 休み時間、いつものように1人 じっと座っている薫を見つめる。 儚げな美人・・・・なんて 全然 違うじゃん。 面白れぇ。 これが後に 薫と仲良くなるきっかけとなった出来事だった。

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