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最高のプレゼント☆35
** 遊・side **
高校生の薫さん・・・・・
ほんの1部なのに
薫さんの薫さんらしさが よく分かる話だった。
『それで、絡まれるのは減ったんですか?』
と、聞くと
『あー。まぁ・・・うちの学校では、な。
ただ他校から、強いヤツとケンカしたいって
輩がやって来るようになったな。』
当時を思い出したのか、楽しそうに新見さんは笑う。
『他校から・・・・・・』
ホントに、そんな世界が存在するんだ・・・
マンガとかドラマだけかと思ってた・・・
っていうか、新見さん、楽しそうだなぁ。
ケンカって楽しいのかな???
『あの・・・あのさ。』
それまで黙って聞いていた晴臣さんが
おずおずと切り出す。
『どうした?ハル。』
『あの・・・薫ってヤツと姉ちゃんは
どこで知り合ったの?』
『ん?・・・・・ああ!桜子か。
それこそ アイツも ケンカしに来たヤツらに
くっついて来てて・・・』
『うん。』
『ケンカしてる薫を見て、一目惚れしたんだと。
あの鬼みたいな薫を「カッコいい!」とか
言ってさ。・・・ズレてるよな~(笑)。』
『へ、へえ・・・・・』
『誰がズレてんのよ』
突然、後ろから低い声がした。
『お?おー、桜子じゃん。』
『ぎゃっ・・・・ねねねね姉ちゃんっっ・・・・!』
晴臣さんが飛び上がって
イスから転げ落ちたかと思うと
尻餅をついた、そのままの体勢で
器用に後ずさっていく。
『え?は、晴臣さん !?』
『え?なに?どしたの?』
な、なに??
何が起こったの????
そこへ、薫さんもやって来た。
『おー、来たか。サクラ。』
『はーい、ご招待ありがとう、薫。
あと、英道、・・・・と、晃くんだったかしら?
お誕生日おめでとう。』
『サンキュー♪』
『あ、ありがとう・・・ございます・・・』
突然の知らない人の登場と
晴臣さんの尋常ではない怯えっぷりに
僕も晃くんも何が起きたのか
理解できなくて固まってしまう。
新見さんに聞こうにも
離れた所で真っ青な顔でガタガタ震えている
晴臣さんの元に歩いて行ってしまって
それどころではなさそう・・・・・・。
えーと、
確か・・・“ 姉ちゃん ” って・・・・・言ったよね?
姉ちゃん・・・・・
晴臣さんのお姉さん・・・・・?
頭の中を整理しようとしていると
桜子さんはにっこり笑って
(ただ者ではない雰囲気を漂わせながら)
自己紹介をした。
『はじめまして。晴臣の姉、
ついでに薫の元カノの桜子です♪よろしくね。』
『『え・・・・・・・・・・・・・・』』
あ、やっぱり晴臣さんのお姉さんなんだ・・・・・
───で、
薫さんの元カノ・・・・・・・・・・
・・・元カノ?
『え───っ?!
あなたが!
てててて店長の元カノ─────っっ!?』
晃くんの叫び声で、やっと僕の頭にもスッと
その言葉の意味が入ってきた。
元カノ・・・・この人が。
薫さんのケンカする姿に一目惚れしたっていう
桜子さん・・・・・・・・・
うーん。
なるほど・・・・・・
ただ者ではないって感じたのは
間違ってなかったんだ・・・・やっぱり。
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