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最高のプレゼント☆40
** 新見(高校生)・side **
『信じらんねー。』
なんで、俺が・・・・・。
悪態をつきつつ俺は
手紙で指定された場所へと向かっていた。
女が・・・、
しかも自分の彼女が、だぞ?
誰かに捕まったってーのに
助けに行かないなんて・・・・
アイツ、どんな神経してんだよ?
信じらんねー。
『はあ、着いた。・・・あのヤロ・・・・
この借りは絶対に返してもらうからな。』
大きく息を吐くと、気合いを入れ
廃屋のドアを思いっきり、引いた。
ベコンッと変な音がして・・・・
『あ、あれ?ドア・・・・外れた。』
・・・ヤベー。
『・・・・・・・・・・・。ま、いっか。
おーい、ジャマすんぞー。』
ドアを 横に投げてから 中にはいる。
入ると すぐ、棒のような物を持った男が
3人、待ち構えていた。
『き、来たな・・・っ!山咲!・・・・っ!?』
『・・・・・・・・・・は?え・・・、・・・・・・え!?』
『お前・・お前・・・・だ、誰だ・・・・・・・!?』
あからさまに 戸惑う男たち。
うん。
そりゃ そうだよな。
どう見ても薫じゃねーもんなー。
その戸惑い、分かるよー?
うん、うん。
仕方ないな。
自己紹介してやろう。
『こんにちはー。
新見でーす。薫の代わりで来ましたー。』
『は?・・・・・・・代わりって』
『は?・・・・・・・どゆこと?』
『は?アイツ 来ないの?』
うん。
そうだよな。
「は?」って思うよな?
うん、うん。
説明してやんなきゃな。
『えっとー、薫くんは今日
なんか、大事な用事があるみたいでな。』
さすがに、めんどくさいから来ない、とは
言えないけどな。
『・・・・・はぁ?大事な用って・・・・・何よ?』
『ん?』
男たちが立つ、さらに奥から 低い低い声が
聞こえてきた。
薄暗いその場所に 目を凝らすと・・・・
イスに座った状態で縄で縛られている薫の彼女
サクラの姿が見えた。
『う、うるさいな、女っ!黙ってろよ!』
『あ!お前、いつもアイツと一緒にいるヤツだよな!?』
『よ、よし!いいや!お前でいい!いいか!?
この女を返して欲しかったら おとなしくしろ!』
口々に男たちが叫ぶ。
その後ろで、いつの間に縄を解いたのか
ゆらり・・・と立ち上がるサクラ。
『うーるーさーいーぃー?
誰に言ってんのよ、あんた。』
『は?・・・・・・あがっ!』
『え?え?なんで・・!?うぉ・・・っ!』
『縄・・・!? えぇ!?なっ・・・、ふごぉっ!』
ゴキッ、バキッ、ドスッっと
鈍い音がして男たちが吹っ飛ぶ。
突然の襲撃にオタオタする男たちを
捕まえては殴り、捕まえては蹴り
男の持っていた棒で叩きまくるサクラ。
笑いながら戦う、その姿は・・・・まさに鬼。
いや、悪魔・・・・・・・・・いや、薫?
どっちにしろ
強ぇぇ女だな・・・・・・・・・
攻撃を受けた男たちは
声もなく倒れ、そのまま動かなくなった。
『・・・ふん。弱っちいクセに生意気な。』
吐き捨てるように言うと、
パンパンと手をはたいて俺の方へと歩いてきた。
『・・・・・・・・・・すげぇ・・・・・・』
そこで、気づく。
えーと、
俺、来た意味なくね?
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