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夏休み4人旅☆8
** 晃・side **
『はぁ・・・。お前なぁ
そんなんで晃にあたるなよ。』
『だ、だって・・・・・・』
『ジュースは何処でも飲めるだろ。』
『う・・うん。・・でも・・・・』
『お菓子も食えるだろ?』
『う、うん・・・・・』
『映画も・・・・つーか、帰りもバス乗るだろ?』
『・・・・うん・・・・・』
頷くものの まだ不服そうな晴臣さんに対して、
新見さんは大きなため息をついて立ち上がった。
『・・・・ったく、ガキか。』
『・・・・っっ、ひ、英道・・っ・・』
晴臣さんは 新見さんが怒った!と思ったらしくて
泣きそうな顔で慌てて名前を呼ぶ。
でも新見さんは、そのまま歩いて
後ろの方へ行ってしまった。
『ど、どうしよう!怒ったのかな !?』
『・・・・知らなーい。』
焦る晴臣さんに、さっきの意地悪の仕返しとばかりに
冷たーく 答えてやる。
『あ、晃ぁ・・・っ・・・・俺・・・っ、俺ぇ・・・・・・っ・・・』
『えっ・・・・!』
くしゃくしゃな顔で、
本格的に泣きそうになる晴臣さんに焦り始める俺。
『あー、晃くーん・・・・・』
横から、呆れた声の遊。
←こっちの方が俺にとっては大事 !
と、慌てて謝る。
『わーっ!ごめん、ごめん!
大丈夫だって!』
『でも、俺・・・っ・・・・』
『お、怒ってないって!
新見さん、大人だからっ!!』
『そ、それ・・・俺が子供・・・・・』
『ちっっ!違う違うっ!』
『ふえぇ・・・・』
『は、晴臣さーん!泣かないでっ!!』
『あ。戻ってきたよー。』
『ほら!戻ってきたって!』
『お前ら何 騒いで・・・、・・・・・・ん?』
すがるように視線を送る俺たちに
新見さんは目を丸くする。
『なんだ?どうした?』
『うわあぁん!ひでみちぃー!』
すかさず、抱きつく晴臣さん。
『・・・・・・・・・えっ?』
『英道ぃぃ・・・・・グスッ・・・』
『ハ、ハル?なんだよ?なんで泣いてんだ?』
『ひで・・・・お、おこ・・・怒った・・・?』
『はあ?怒る?俺が?なんで?』
『だって!急に どっか行くから俺・・っ』
『は?───ああ、・・・それは、これを取りに。』
『・・・・・へ?』
新見さんが手に持っていたのは・・・・
オレンジジュースの缶。
『え?これ・・・・』
『ジュース、飲みたかったんだろ?』
『・・・・・・・・っっ、う・・・うん・・っっ/////』
『もう着くから、早く飲め。』
『うん!ありがと!英道っっ!!』
『・・・おう。』
さっきまでの涙はどこへやら
嬉しそうにプルトップを開ける晴臣さんを
愛しそうに見つめる新見さん。
なんだか車内が そこだけ パアーっと
明るくなった気がする・・・。
首を捻って、後ろをそっと見てみれば
他の乗客の何人かが 微笑んでいるのが確認できた。
うーん。
この2人は どういう風に見えてるんだろうか・・・・
兄弟?
恋人同士?
まさかの親子・・・ !?
なんてね。
なんにしろ、丸く 収まってよかった。
もうすぐ目的地だし。
楽しくないと、ね♪♪
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