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夏休み4人旅☆23

** 新見・side ** 晃と遊が 出ていった後 『ハル~。』 『な、ななななんだよっ !?』 名前を呼んだだけで、ビクビクするハル。 はは。 ド緊張してるな、ハルのヤツ。 ハルを取り巻く、ピリピリした空気を感じる。 まるで、警戒心 丸出しのハリネズミ・・・・ なんだか、昔のハルを見てるみたいだ。 昔のハル・・・か。 痴漢にあってから、触られることを 極端に嫌っていた ハル。 心を許してくれていた 俺ですら 恐怖心を拭えず、怯える事も多くて・・・ 今 思えば、マジで大変だった。 遊と晃に 出会ってなければ もしかしたら まだハルとは 中途半端な関係のままだったかもしれない。 ハルの温もりを知ってしまった今では 考えられない事だ。 “ 傍に居られれば何もしなくてもいい ” なんて そう思っていた あの頃の俺を誉めてやりたい。 『おい・・英道、英道ってば・・・!』 『・・・・・ん?なんだ?』 『なんだ?って、お前・・・・。  お前が名前、呼んだんだろーが。』 『ああ。そーか、そうだな。』 『・・・・?変なヤツ。』 『・・・・・・ハル。』 『・・・だから、なんだよ?・・うわっっ!』 おもむろに ハルの手を握って、引き寄せる。 『んなっ///!?ちょっ・・バ、バカ、離せよっ///!』 真っ赤になった ハル(ハリネズミ)が慌てて 距離を取ろうとする。 ───より前に 素早く 腿の上に乗せて ギュッと抱きしめて耳元で囁く。 『ハ~ル・・・キスして?』 『は?・・・・///っ !? は、・・・はぁ !?』 案の定、一瞬 固まった後 ジタバタ 暴れ出すハル。 『ア、アホかっ!やだしっ///!つーか離せっ///!』 『俺もイーヤーだー。キースー。』 『い!いやいやいや!ダ、ダメだって////!』 『なんでだよー?』 『だ、だだだだって・・・//// あ!ゆ、遊と晃が・・・・  も、戻ってきちゃうかもしれないだろ?!』 『アイツらなら今、出てったばっかりだろー。  貸し切り風呂でイチャイチャするんだから  当分 帰ってこないって。』 『だ、だだだだけど・・・っ!  もしかしたら、ほら!  もしかするかもしれないじゃんっ///』 赤い顔して、焦りまくるハル。 でもなー。 本気で嫌がってる訳じゃないってのが 見え見えだったーの。 (分かりやすいヤツ) ふふん。 もう、ひと押し・・・・だな♪ ここは趣向を変えて・・・・・・・・・ 『・・・・そっか。イヤか。やっぱりな。』 低く、ぽつり、と呟く。 少し俯けば、ハルが暴れるのをピタリと止めた。 『・・・・すまん。忘れてくれ。』 わざとらしく悲しげに声を震わせてみる。 普通のヤツなら 気がつくくらい わざとらしく。 『え。ひ、英道・・・・?  え、えっと・・・お、俺、別に・・・  ホ、ホントに嫌な訳じゃ・・なくて・・』 ふふん♪ もちろん、ハルは気がついてない。 本気で心配してくれる単純・・・・ いや、素直なハルに・・・ ニヤけてしまいそうになる口元を引き締めて とどめのひと言を告げる。 『ホントか?  ハルが嫌じゃないなら キスしたい・・・・・』 『・・・・・うっっ/////!~~~っ////!  も、もう・・・っ///!くそっっ!  い、1回・・・だけだからなっっ////!』 ヤケクソ気味に叫んだハルが 俺の頬を挟み 唇を寄せてくる。 チュッ 温かい それは、ほんの一瞬だけ触れて すぐに離れていった。 ・・・ なんだそりゃ。 早ぇーし 短ぇし。 全然、足んねー。

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