724 / 761
夏休み4人旅☆25
** 新見・side **
『なんなんだよー、お前・・・・』
ハルも晃のあまりの剣幕に 漸く 顔を上げた。
『風呂!貸しきり風呂!行こう!ね?
すんごい気持ちよかったからさっ!』
『あー・・・・はいはい。
風呂が気持ちいいのは分かった・・』
『じゃあ!行こう!さあ!』
『・・・・行かない・・・ここにいる。』
晃も粘るけど・・・
ハルがまた、なかなか しぶとい。
『なんでー !?行けよ!晴臣ぃ!』
『は?おま・・・!呼び捨てすんなよ!
なんなんだよ、さっきから!』
今度はケンカか?
もう、いい加減に終わらせないと。
時間がもったいない。
よし、
ハルは俺が抱えて行こう。
なぜか 一生懸命な晃のためにも。
───と、少し晃に感謝していたら
痺れを切らした晃が とうとう本音を爆発させた。
『もーっ!早く、俺と遊を2人きりにさせろぉ!』
『・・・・はあ?なに?2人きり??』
『・・・・・・・・・!』
おお。
なるほどねぇ
お前の 一生懸命は・・・そっちか。
俺たちがいない間に
遊と イチャつきたいって訳だな??
『お前な・・・!』
ハルも漸く晃の意図に気がついたらしい
怒ったように晃を睨む。
これでケンカが始まったら面倒くせぇし・・・・・
『はいはい。もう おしまい。行くぞ。』
有無を言わさず、ハルを抱えあげた。
『え!ひ、英道・・・俺、晃にまだ・・・・っ!』
『うっさい。行くぞー。』
『そうそう!いけなく行けー♪』
『あきらぁーっっ!てめぇぇー!』
『いってらっしゃーい♪ごゆっくりー♪♪』
晃が元気に手を振る。
『ゆ、遊───っっ !!』
『あ・・・あの・・・晴臣さん・・・・えと・・・
い、いってらっしゃい・・・ごゆっくり・・。』
遊も困り顔をしつつも 手を振る。
遊も 今回ばかりは
ハルの味方には なるつもりはないらしい。
『ゆ、遊までぇー!?』
恨めしそうに叫ぶ ハルと着替えを持って 外に出る。
諦めろ、ハル。
みんな、貴重なイチャイチャ タイムが大事なんだ。
もちろん俺もな。
♡
♡
♡
『英道・・・・下ろして。自分で歩く・・・』
『・・・・・・ん、おう。』
本館に入る手前で、ハルが ボソリと言った。
さすがに 抱えられたまま
中を歩くのは恥ずかしいらしい。
『歩けるか?』
『うん・・・もう平気。』
本館に入り、スリッパを履いたハルは
支えなくても しっかりした足取りで歩き始める。
その後ろ姿を見ていたら
自分のした子供じみた行為 が
なんとも情けなく思えてきた。
うーん。
『風呂・・・・やめとくか?』
背中に問いかける。
『・・・・・なんで?』
ハルが ゆっくり振り返る。
「今さら、なに言ってんの?」って顔だ。
ま、そりゃーそうだよな。
でも。
『お前、乗り気じゃないんだろ?
どっかで時間 潰してもいいし・・・』
『・・・・・・・いい。行く。』
『無理しなくていいぞ?
あ、他の誰かを探すなんてのも嘘っぱちだからな?
俺、お前以外の誰かと入る気なんかねーし。』
からかっただけ、なんてのは言えないけど。
すると、ハルが俺の腕を掴み、ぐいぐい引っ張って
貸しきり風呂の矢印の方へと廊下を進む。
『ハル・・・・・』
『う、うっさい/////!
俺、嫌じゃないって何回も言ってんだろ!
そりゃ・・・さ、さっき拗ねたのは悪かったけど・・・
俺だって・・・・/////』
『俺だって?』
『お、俺だって、ふ、ふ、2人きりになれるの
楽しみにしてたっつーのっっ////!』
『俺、風呂 入るだけじゃ済まないぞ?』
『・・・・・・っ・・・・///』
正直に気持ちをさらけ出すと
ハルが「ボンッ」と音が出そうな勢いで赤くなった。
『そ、そ、それも承知の上だっ///!』
『そうなのか?』
『そ、そ、そうだよ////!言わすなよ!ボケッ!』
そして、また ぐいぐい引っ張る。
・・・・なるほど。
遠慮はいらない、って事だな?
腕を引く ハルの後頭部を見つめ
これから始まる お楽しみに
溢れる笑みを抑えられない俺なのだった。
ともだちにシェアしよう!