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夏休み4人旅☆25

** 新見・side ** 『なんなんだよー、お前・・・・』 ハルも晃のあまりの剣幕に 漸く 顔を上げた。 『風呂!貸しきり風呂!行こう!ね?  すんごい気持ちよかったからさっ!』 『あー・・・・はいはい。  風呂が気持ちいいのは分かった・・』 『じゃあ!行こう!さあ!』 『・・・・行かない・・・ここにいる。』 晃も粘るけど・・・ ハルがまた、なかなか しぶとい。 『なんでー !?行けよ!晴臣ぃ!』 『は?おま・・・!呼び捨てすんなよ!  なんなんだよ、さっきから!』 今度はケンカか? もう、いい加減に終わらせないと。 時間がもったいない。 よし、 ハルは俺が抱えて行こう。 なぜか 一生懸命な晃のためにも。 ───と、少し晃に感謝していたら 痺れを切らした晃が とうとう本音を爆発させた。 『もーっ!早く、俺と遊を2人きりにさせろぉ!』 『・・・・はあ?なに?2人きり??』 『・・・・・・・・・!』 おお。 なるほどねぇ お前の 一生懸命は・・・そっちか。 俺たちがいない間に 遊と イチャつきたいって訳だな?? 『お前な・・・!』 ハルも漸く晃の意図に気がついたらしい 怒ったように晃を睨む。 これでケンカが始まったら面倒くせぇし・・・・・ 『はいはい。もう おしまい。行くぞ。』 有無を言わさず、ハルを抱えあげた。 『え!ひ、英道・・・俺、晃にまだ・・・・っ!』 『うっさい。行くぞー。』 『そうそう!いけなく行けー♪』 『あきらぁーっっ!てめぇぇー!』 『いってらっしゃーい♪ごゆっくりー♪♪』 晃が元気に手を振る。 『ゆ、遊───っっ !!』 『あ・・・あの・・・晴臣さん・・・・えと・・・ い、いってらっしゃい・・・ごゆっくり・・。』 遊も困り顔をしつつも 手を振る。 遊も 今回ばかりは ハルの味方には なるつもりはないらしい。 『ゆ、遊までぇー!?』 恨めしそうに叫ぶ ハルと着替えを持って 外に出る。 諦めろ、ハル。 みんな、貴重なイチャイチャ タイムが大事なんだ。 もちろん俺もな。 ♡ ♡ ♡ 『英道・・・・下ろして。自分で歩く・・・』 『・・・・・・ん、おう。』 本館に入る手前で、ハルが ボソリと言った。 さすがに 抱えられたまま 中を歩くのは恥ずかしいらしい。 『歩けるか?』 『うん・・・もう平気。』 本館に入り、スリッパを履いたハルは 支えなくても しっかりした足取りで歩き始める。 その後ろ姿を見ていたら 自分のした子供じみた行為(キス)が なんとも情けなく思えてきた。 うーん。 『風呂・・・・やめとくか?』 背中に問いかける。 『・・・・・なんで?』 ハルが ゆっくり振り返る。 「今さら、なに言ってんの?」って顔だ。 ま、そりゃーそうだよな。 でも。 『お前、乗り気じゃないんだろ?  どっかで時間 潰してもいいし・・・』 『・・・・・・・いい。行く。』 『無理しなくていいぞ?  あ、他の誰かを探すなんてのも嘘っぱちだからな? 俺、お前以外の誰かと入る気なんかねーし。』 からかっただけ、なんてのは言えないけど。 すると、ハルが俺の腕を掴み、ぐいぐい引っ張って 貸しきり風呂の矢印の方へと廊下を進む。 『ハル・・・・・』 『う、うっさい/////!  俺、嫌じゃないって何回も言ってんだろ!  そりゃ・・・さ、さっき拗ねたのは悪かったけど・・・  俺だって・・・・/////』 『俺だって?』 『お、俺だって、ふ、ふ、2人きりになれるの  楽しみにしてたっつーのっっ////!』 『俺、風呂 入るだけじゃ済まないぞ?』 『・・・・・・っ・・・・///』 正直に気持ちをさらけ出すと ハルが「ボンッ」と音が出そうな勢いで赤くなった。 『そ、そ、それも承知の上だっ///!』 『そうなのか?』 『そ、そ、そうだよ////!言わすなよ!ボケッ!』 そして、また ぐいぐい引っ張る。 ・・・・なるほど。 遠慮はいらない、って事だな? 腕を引く ハルの後頭部を見つめ これから始まる お楽しみに 溢れる笑みを抑えられない俺なのだった。

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