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大好きだから・・・☆9
――え?
え・・・?
今、店長・・・「遊」って言った?
何で?
どういう事?
てか、報告って何?
――何この展開!?
『・・・・晃くん』
『・・・・・・・・・え?』
『駅 着いたよ』
居酒屋から駅までは歩いて5分足らず。
ぼーっとしたまま、遊に手を引かれて歩いていたら、いつの間にか駅まで来ていたらしい。
『あの・・・遊。』
『うん・・・僕がなにしてたか・・・
聞きたいよね?』
「こっち」と また手を引かれて、近くの公園へと向かう。まだ、薄明るいからか、ちらほら遊ぶ子供たちの姿があった。
子供たちの邪魔にならないよう邪魔されないよう、遊具から一番 離れたベンチに座る。
しばらく2人で ぼんやりと空を眺めていたけど・・・・
『・・・勝手にお店に行って ごめんね。』
と、遊が切り出した。
『あ、いや、それは全然 』
『晃くんの話、聞いてたら 店長さんに会って みたくなって・・・・』
『・・・・・・・うん』
『どんな人なのか会ったら分かるかな、って』
『・・・・うん』
『会ったら・・・安心した。
晃くんが言ってた通りの人で』
『はは・・・うん』
『ホントにからかっただけ、だって』
『・・・・うん』
『面白かった、って笑ってたよ。』
『・・・・・・・店長・・・・』
少し和やかな空気になって ホッとした・・のは一瞬で、遊が はぁ・・・とと、ため息をつく。
『僕ね・・・、自分がこんなに嫉妬深いなんて思ってもなかった・・・・』
『え?』
『僕・・・晃くんがいなくなったら生きていけない』
『え・・・・・・・?』
『なんて・・・・あはは。重いよねー。
自分でびっくり、だもん。
大学でも・・・ただ話してるだけの中野くんに嫉妬しちゃったし・・・ダメだね・・僕 』
明るく笑うけど・・・無理してるのは
鈍い俺にでも分かる。
でも、俺も・・・・・俺だって・・・
『俺も・・・同じ事 思ってた。
俺も 遊がいなくなったら生きていけない。
そのくらい寂しかった。
それに、俺の知らない間に・・・店長と仲良くなってて・・・・・・嫉妬した』
『――え!・・・晃くんも・・・・?』
『うん』
『僕と一緒・・・・・?』
『・・・うん、一緒』
『・・・・そ、そうなんだ・・・////』
『そうだよ・・・めちゃめちゃ嫉妬した!』
ぷくっと頬を膨らませて見せれば
遊が やっと いつもの笑顔に戻った。
いつの間にか 辺りは暗くなってて、もう子供たちの姿はない。
遊の手に自分の手を そっと 重ねる。
『・・・・・晃くん・・・』
『・・・・・遊・・・・・・・』
俺たちは 幸せな気持ちで
そっと 仲直りのキスを交わした。
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