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夏休み☆10

『あっついねー。』 ジリジリ照りつける太陽。 日差しが熱い、というより 痛い。 夕方4時でも この暑さ。たまらん。 俺も遊も どちらかというと 「インドア派」なんだよな。 自分から すすんで 海だ、プールだ、キャンプだ、って出掛けたりは しない。 家で、DVD観たり 本を読んだり のんびりゴロゴロしている方が好きだ。 ここ何ヵ月かは、遊が 料理にハマってたから、ますます家に居り浸ってた。 元から料理上手な遊。 最近はお店に負けないくらいの腕前で 節約しながら、美味しいものを作るべく腕をふるってくれるんだ~。 『何にしよっかー』 『さっぱりしたもの・・・(暑い・・・)』 『うん。ふふっ・・そうだね ♪ 』 『・・・・・うん』 スーパーに向かいながら、話していると・・・ 『ぶっ!』 遊が俺の前に出て、急に 立ち止まった。 『あ、ごめん・・』 『いてて・・・どうしたの?』 『うん・・・あれ』 『?』 遊が指差す方向を見ると・・・・ 『店長・・・?』 だった。 店長は、電話で誰かと話しながら、俺たちに背を向けて歩いている。 結構 離れているのに、怒っているのが丸分かり。 『あ゙あ゙?』 『何言ってんだ、てめー』 とか、ドスのきいた声が聞こえてくる。 『・・・・つけてみる?』 遊が 呟く。 え?つける? 店長を?俺たちが? ええーっ?! さっきも言った通り、インドア派な俺たち。 それなのに、遊から そんな言葉が出るなんて! 『で、でも・・・バレたら・・・・』 殺される! ・・・・・・・・俺が。 俺はインドアで臆病者、なんだ! 『そう?・・・・じゃあ、僕ひとりで』 『行きます!』 ひとりでなんて ダメ!絶対! 遊に何かあったら ダメだから! 『ふふっ、やさしいね、晃くん。大好き ♪ 』 ・・・あれ? 何か・・・・言わされた、っぽい気が・・・する まあ、いいか。 と、いう訳で・・・・後をつけます! 店長の後ろを、コソコソと 身を屈めて歩く。 端から見たら、いかにも怪しいだろうけど そんな事はどうでもいい。 つけられている店長も、電話に夢中で俺たちの事には これっぽっちも気づいてない。 すげー、スリル満点! 楽しい・・・・! だが、しかし・・・・・! 電話を終えた店長は、何故なのか くるりと向きを 変えた。 『あ・・・・・・』 『あ・・・・・・』 『あ゙?(怒)』 店長の眉間のシワが深くなる。 やばーい! 殺される・・・・・・・っ! 『よー。何やってんだ、お前ら。』 『・・・・・・・・・へ?』 あれ? 普通に話しかけてきた・・・ 『・・・んー?なんだ? もしかして 俺をつけてたとか?』 ギクッ! ズバリ言い当てられて何も言えなくなる。 すると、店長はさも 面白そうに笑って 『分かりやすいなー、晃くん。 でもなぁ、つけて来ても意味ないぞ?』 『・・・・え?』 何?なんなの? どういう事? 『今から店に行くんだよ。残念だったな』 え?店? 居酒屋? 『なんだ・・・・・』 『えぇ――っ!?』 ん?今の声・・・・遊? 『なんだぁ・・・お店かぁ・・・・』 え? 何で残念そうなの、遊?

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