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夏休み☆17

『ぎゃああああ───っっ!』 引き剥がすべく、店長に飛びつく。 『おいこら!遊から離れろっ!』 腕を叩いて、ひっぱって、離そうとするけど 横向きで寝ている遊の 後ろ側からガッチリ 抱きついている店長。 足まで絡ませてやがるので、なかなか離れてくれない。 遊も、 しっかり抱きつかれてるわりに、すやすや気持ち良さそうに寝たまま・・・・。 『どけっっ!遊から離れろ――っ!』 ポカポカ叩くけど、起きる気配はない。 何て力だよっ! 遊も、この状況で何で起きないのー !? も────っ! とにかく、店長は無理だ !! 遊・・・! 遊を起こそうっっ! 遊の方に回り込んで、 ユサユサ揺さぶる。 『遊・・・!遊! 起きてーっ!』 『・・・・・・ん・・・』 あ、起きた? 『遊っっ !?』 『ん・・・・・・・・』 あれ? ・・・・また、寝ちゃった? 『遊ーっ、起きてぇぇー!』 お願い――っ! 『んん・・・・ん・・・・?』 『遊?起きて、遊!』 『んー・・・・・』 何度も呼び掛けて、 やっと、遊が ぽやっと 目を開けた。 『あ・・・きら・・くん・・・・?』 まだ、かなり眠そう・・・ ごめんね! ここは心を鬼にして ハッキリ言わねば! 『起きて、起きて・・・』 『・・・ん・・・、なに・・・・・?』 体を動かそうと、モゾモゾして はた、と動きが止まる。 ガッチリ店長に抱きつかれてるから動けないのだ。 『・・・・あれ・・・・??』 『遊・・・あの、落ちついて聞いてね? さっき、店長が帰ってきたんだけど・・・かなり酔ってて、遊の布団に・・・・・』 『・・・・・・・・・え?』 ぼんやりしてた目の焦点が くっきりしてくる。 そして、自分の体に回されてる腕を見た。 『これ・・・・薫さん・・・の手・・・?』 『そ、そう・・・』 『・・・・・・・・・・・・・・』 遊の目が、スーッと細くなる。 部屋の温度が ぐっと下がった気がしないでもないけど・・・今は そんな事よりも・・・! 『ゆ、遊!俺、手伝うから! なんとか脱け出そ・・・』 言い終わる前に、遊が店長の腕をガバッと、ほどくと、足で店長をはね飛ばし、難なく起き上がった。 店長は、あり得ないくらい高速で 向こう側へ転がっていき、壁に ぶつかって止まった。 『え・・・・・・・?』 『・・もう!薫さんてば!信じられない!』 そして、「晃くん、怖かったよー」と、 抱きついてくる遊。 呆気に取られる俺。 いや、あの・・・・・・ そんな簡単に・・・・ほどいちゃう? それに 店長・・・結構な勢いで転がったよ・・・? 俺・・・・、遊を助けられなかった・・・ やっぱり俺、力・・・弱い・・・ ジム・・・・・行く? 行くべき? 『ね。晃くんの部屋、行こ?』 『へ?あ、・・・うん。えと、店長は・・・・・』 勢いよくぶつかったのに 全然 起きないんだけど・・・大丈夫かな? 『ほっとけば いいよ。』 遊にしては冷たい言葉・・・・でも、俺の手を握ると今度は いつものように ふんわり笑って 『行こ?』 歩き出す。 『うん!』 店長は・・・・・・いっか。 ほっとこう。

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