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夏休み:初めての旅行☆26

んー。 まぁ・・・いいか。 遊が好かれてるって事だもんな。 うん。 OK、OK ♪ さて、疲れたし・・・ 荷物、置いてこよっと。 熱烈な歓迎っぷりに戸惑う遊と、 久しぶりの再会にはしゃぐ両親をその場において、家に入る。 久しぶりの我が家。 といっても何も変わってない廊下を進んで リビングのドアを開ける・・・・・と、 ソファに座ったまま、嬉しそうにこっちを見た弟、湊(みなと)は、 『何だ…兄ちゃんか。』 あからさまに残念そうに、ため息をつくと、 膝に乗せていた本を開いて 読み始めた。 『・・・・・・おい・・・』 『・・・・・・・・・・・・』 無視!? 無視なの!?お前まで!? ホントに何なのー、こいつらっ! 軽く落ち込んで・・・・ でも、みんなが遊を待っていてくれた事が 純粋に嬉しくて・・・連れてきてよかった って想った。 とりあえず、荷物はリビングに下ろして、 このクソ暑いのに まだ外にいる3人を呼びに、玄関の方へ向かおうとした時、 『兄ちゃん』 後ろから、湊に呼ばれた。 『ん?』 『おかえり』 『・・・え?あ、おう・・・・ただいま』 『疲れた?』 『ん?おー、まあな』 おお。 少しは悪いと思ったのかな? かわいいじゃないか、弟よ。 『朝から、母さん大はしゃぎだったよ』 『へ、へー』 『兄ちゃんに・・・じゃなくて遊くんに会える、って』 『・・・・・へ?』 『ま、ゆっくりしてきなよ。 俺は、邪魔しないから』 やたらと「俺は」を強調して、俺の肩を叩いて湊は リビングを出ていく。 どうやら 玄関へ向かった・・・らしい。 『・・・・・・・』 俺は、遊を出迎えた異様にはしゃぐ両親の姿と、今の湊の言葉が妙に引っかかって、動けない。 なんだろう・・・ なんか 嫌な予感がする・・・・・・

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